国際再生可能エネルギー機関、アフリカのエネルギー転換の加速呼びかけ

(アフリカ、エジプト、モロッコ、ケニア、エチオピア、ナミビア、ルワンダ、シエラレオネ、ジンバブエ)

調査部中東アフリカ課

2024年05月01日

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は4月18日、アフリカが率先してエネルギー転換のために革新的なアプローチを推進していると報告した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。IRENAは報告の中で、アフリカでの再生可能エネルギーの導入は、アフリカが気候変動対策に取り組みながら経済と開発の多くのニーズを満たすカギになるとしている。

アフリカでは、2023年末時点で再エネの発電容量が前年比13.9%増加している(2024年4月17日記事参照)ものの、過去20年間でアフリカに振り向けられた再エネ投資は世界全体の2%未満で、エネルギー転換は遅れている。IRENAは将来の持続可能なエネルギーへの移行加速のために、アフリカのエネルギーシステムへの大幅かつ急速に投資を拡大する必要があるとしている。

そのために、2023年9月のアフリカ気候サミットで採択されたナイロビ宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2023年9月25日記事参照)に基づき、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28、2024年2月5日付地域・分析レポート参照)で発足した「アフリカ再エネ加速パートナーシップ(APRA)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注)などの枠組みが設けられている。ナイロビ宣言では、アフリカの再エネ容量を2022年の56ギガワット(GW)から2030年までに300GWに増加させるとしており、これは世界全体で再エネ容量を3倍にし、効率対策を2倍にするCOP28の目標に沿ったものになっている。

こうした中でIRENAは2月26日、「北アフリカの再エネの可能性と戦略的立地がエネルギー転換における役割を強化」と題した報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中で、北アフリカがアフリカの中で最大のエネルギー市場だとしている。北アフリカでは特に太陽光発電と風力発電が大きな可能性を秘めており、エネルギー転換の最有力候補としている。太陽光発電と風力発電はコストが大幅に下がっており、北アフリカはアフリカ全体の太陽光発電容量の約20%、風力発電容量の約50%を占めている。

一方で、北アフリカへの投資を増やす必要があるとしており、投資額は2017年の57億ドルを除けば、依然として30億ドルを下回っている。さらに、現在は投資の多くがモロッコとエジプトに集中しており、投資の配分が必要としている。再エネへの投資については、石油燃料への投資に比べて、投資額1ドル当たり2~5倍の雇用創出効果があるとしており、教育を受けた労働力が多くいる北アフリカは利益を得られる機会が存在するとしている。

(注)IRENA、デンマーク、ドイツ、アラブ首長国連邦(UAE)の支援を受け、アフリカ各国のエネルギー転換の推進のために設立されたプラットフォーム。ケニア、エチオピア、ナミビア、ルワンダ、シエラレオネ、ジンバブエが加盟している。

(加藤皓人)

(アフリカ、エジプト、モロッコ、ケニア、エチオピア、ナミビア、ルワンダ、シエラレオネ、ジンバブエ)

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