セルビアと中国、共通の未来を見据えた包括的・戦略パートナーシップ締結

(セルビア、中国)

ブダペスト発

2024年05月16日

中国の習近平国家主席は5月7~8日、欧州訪問の一環として2016年以来8年ぶりにセルビアを公式訪問した。

習国家主席とセルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領は、自由貿易、農業、産業、人工知能(AI)、安全保障などについて協議し、「包括的・戦略パートナーシップの深化・強化、セルビア・中国の共通の未来を見据えた共同体の構築」に関する共同声明に署名した。

ブチッチ大統領は、これまでの戦略的関係から、両国の共通の未来に向けた今回の共同声明は、2国間関係の発展にとって戦略的に重要な方向性だと述べた。また、過去3年間、中国がセルビアへの最大の投資国で、貿易では2番目のパートナーであること、またセルビアの中国への輸出は過去10年間で140倍に増加し、両国間の貿易は8倍に増加したことを付け加えた。習国家主席も両国間の友情が強固で誠実なものとし、「ブチッチ大統領との会談で重要な合意に達し、セルビアは欧州で中国が共通の未来を有する共同体を構築する最初の国になる」と述べた。

また、インフラ、貿易、科学、生態学、技術、スポーツ、情報の分野における協力と相互理解に関する覚書として28の文書が交換・署名された。現地報道によると、中国代表団は400人で、この人数からも中国が今回の訪問を重視していることが示された(「ポリティカ」紙5月7日)。同紙は、ブチッチ大統領が中国はセルビアで開催される2027年の万博への参加のみならず、われわれが最高のかたちで万博を開催できるように、中国の経験や知見の共有を約束してくれた、と述べたとしている。

さらに報道によると、ブチッチ大統領は、式典レセプションで「中国の領土保全についてセルビアは「一つの中国」を支持していると述べた。習国家主席も、セルビアと中国は国際問題に関して緊密に連携していると述べ、コソボの独立を承認しないセルビアを支持するとともに、コソボが国連などの国際機関に加盟するのを阻止する取り組みを支持するとした(「スロボドナ」紙5月8日)。

(ドラガン・ミレンコビッチ、宮内安成)

(セルビア、中国)

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