中国関税税則委、対米追加関税対象のうち124品目の適用除外期間を11月30日まで延長

(中国、米国)

北京発

2024年05月08日

中国国務院関税税則委員会は4月29日、米国原産の輸入品に課している追加関税措置について、一部品目の適用除外期間の延長を発表した。124品目(注1)について5月1日から11月30日まで、米国の通商法301条に基づく措置への対抗措置として課している追加関税措置の適用対象から除外する。対象品目のリストは財政部のウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に掲載されている(注2)。

ポリエチレンや接着剤、レアアース鉱石、各種ハイテク設備の基幹部品やその原料、暗視デジタルカメラ、航空機搭載レーダー、ハロゲンランプ、直径15センチ以上の単結晶シリコンウエハー、フライトデータレコーダー、特殊用途に用いる遠隔操作式空撮ドローンなどが含まれている。今回の対象品目は、関税税則委員会の2023年9月13日の発表に基づき、2023年9月16日から2024年4月30日まで対米追加関税措置の適用除外対象となっていた(2023年9月15日記事参照)。

中国と米国の貿易管理では依然としてやりとりが続いている。米国通商代表部(USTR)は4月17日、中国の海事や物流、造船分野での行為・政策・慣行について、通商法301条に基づく調査を開始すると発表(2024年4月18日記事参照)。これに対し、中国商務部は強烈な不満と断固とした反対を表明した(2024年4月26日記事参照)。

また、習近平国家主席は4月26日、アントニー・ブリンケン米国務長官と会談を行い、2024年は米中国交樹立45周年に当たることや、米中の協力関係の強化の必要性を強調しつつも、中国側は米国の中国に対する経済、貿易、科学技術の抑制措置について、際限なく不公正な競争だと指摘している(2024年4月30日記事参照)。米国側は、貿易をゆがめ、米国の安全保障を脅かす中国の非市場経済的な政策と慣行や、中国の過剰な工業生産能力が世界経済に及ぼす影響について懸念を表明した。その上で、貿易や投資を過度に制限することなく、米国の先端技術が米国の安全保障や経済を損なうために利用されるのを防ぐことを含め、必要な行動を取り続けるとして、これまでのバイデン政権の立場を繰り返し伝えている(2024年5月1日記事参照)。

(注1)対象品目はHSコード8桁ベースだが、8桁以下の商品名称に基づいている品目も含まれる。このため、同一のHSコード(8桁)でも、2つの別の品目として掲載されているものもある。

(注2)これまでに中国が発表した主な対米追加関税適用除外措置と、その延長措置については添付資料を参照。

(亀山達也)

(中国、米国)

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