東南アジアの経済成長、2024年は4.6%前後の見通し

(ASEAN、フィリピン、カンボジア、ベトナム、インドネシア、中国、インド)

調査部アジア大洋州課

2024年05月08日

2024年と2025年の実質GDP成長予測について、IMF、アジア開発銀行(ADB)、世界銀行、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)の4機関は、それぞれ2024年4月版の見通し(注1)を発表した。これらによると、東南アジア(注2)の2024年の成長予測は平均4.6%(4.5~4.8%)(注3)だった(添付資料表参照)。中国の成長予測4.8%(4.5~5.3%)をわずかに下回ったほか、インドの7.1%(6.8~7.5%)に比べて低い成長率となった。

東南アジアの中では、フィリピンの成長予測が6.1%(5.8~6.3%)と最も高かった。続いて、カンボジアが6.0%(5.8~6.2%)、ベトナムが5.8%(5.5~6.0%)、インドネシアが5.0%(4.9~5.2%)と、東南アジアの平均を上回った。マレーシアは4.6%(4.3~5.0%)で東南アジアの平均と同水準だったが、ラオス4.2%(4.0~4.7%)、タイ2.8%(2.6~2.9%)、シンガポール2.4%(2.1~2.6%)、ミャンマーは1.8%(1.2~3.2%)は平均を下回った。

ADBの分析によると、成長予測の高いフィリピンは、インフレ抑制と金融緩和を背景に、内需が成長を加速させるとの見通しだ。カンボジアは、製造業の輸出の伸びや観光業の回復などが成長を牽引。ベトナムは、輸出の回復と金融緩和に伴う国内消費の伸びが景気を押し上げるとした。インドネシアは、堅調な内需が成長の支えとなる見込みだ。

2025年の成長予測、東南アジアが中国を上回る見通し優勢

2025年の成長予測は、東南アジアが平均4.7%(4.6~4.9%)で、中国の4.5%(4.1~4.9%)を上回った。成長予測が高いのは、ベトナム6.3%(6.0~6.5%)、フィリピン6.2%(5.9~6.5%)、カンボジア6.1%(5.8~6.4%)、インドネシア5.1%(5.0~5.2%)となった。

(注1)IMFは4月16日、「世界経済見通し(2024年4月版)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表。ADBは4月11日、「アジア開発見通し(2024年4月版)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表(2024年4月30日記事参照)。AMROは4月8日、「ASEAN+3地域経済見通し(2024年版)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表(2024年4月15日記事参照)。世界銀行は3月31日、「東アジア・大洋州経済報告(2024年4月版)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表。

(注2)東南アジアは世界銀行の予測を含まない。また、IMFの予測はASEAN5カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)が対象。

(注3)4機関がそれぞれ発表した予測の平均値。カッコ内は各機関の予測値の幅(下限と上限)を示す。ただし、予測値が3機関しか発表されていない国・地域は、3機関分の平均値と幅を表示。

(庄浩充)

(ASEAN、フィリピン、カンボジア、ベトナム、インドネシア、中国、インド)

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