日立エナジー、フィンランドで変圧器工場の新設を発表

(フィンランド、ドイツ、エストニア、英国)

ロンドン発

2024年05月08日

日立エナジーは4月23日、フィンランドに変圧器の生産・技術開発拠点を新設することを発表した。グリーンエネルギーへの移行に伴うフィンランドおよび世界中における変圧器への需要の高まりに対応するための投資の一環。

約1億8,000万ドルを投じて、フィンランドの南西バーサ地域の約3万平方メートルの敷地に、最先端の変圧器製造設備およびテストラインを建設する。今回の投資により、フィンランドにおける変圧器の生産能力は現在から倍増し、発電、送電、データセンターなどフィンランドの重要インフラ向けに必要となる変圧器の大部分を製造および保守する同社のキャパシティーが強化されるという。報道によると、現在、日立エナジーはフィンランドで600人以上の従業員を雇用しており、そのうち約500人がバーサ地域にいるとされている。新施設の建設は2024年秋に着工し、2027年に稼働予定とされている(「STT」4月23日)。

欧州での投資拡大を相次いで発表

日立エナジーは、フィンランドに限らず、欧州全体での投資拡大を相次いで発表している。変圧器関連では2024年2月に、3,000万ユーロ超の投資によりドイツの変圧器工場を増強することを発表。欧州におけるクリーンエネルギーへの転換を支える変圧器の需要増加に対応するために実施するもので、2026年に完了の予定。これらフィンランドやドイツの案件を含め、日立エナジーは15億ドル超を投資して、2027年までに欧州・米州・アジアでの工場開設や増強などにより、変圧器の製造能力を順次、向上させるとしている。

同社は、変圧器のほかにも2024年2月に、フィンランドとエストニアを相互連系するHVDC(高圧直流送電)連系線「エストリンク1」の制御システムの更新を受注した。同連系線の制御・保護機能を強化するとともに、欧州の電力市場の信頼性・可用性向上に貢献する。また4月には、英国・スコットランドの送電事業者エスピー・エナジー・ネットワークスから、同社のSTATCOM(静止型無効電力補償装置)と同期調相機を組み合わせた調相設備(注)を受注。系統の安定性とレジリエンスを保つとともに、送電能力の最大化により、スコットランドからイングランドへの再生可能エネルギーの連系拡大を支援し、化石燃料の段階的な削減に貢献するとしている。

(注)経済産業省によると、無効電力の調整により負荷の変化に伴う電圧上昇・低下を抑制し、電気の品質を確保するためのもの。

(菅野真、半井麻美)

(フィンランド、ドイツ、エストニア、英国)

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