上海市知識産権局、2023年上海知的財産権白書を発表

(中国)

上海発

2024年05月10日

上海市知識産権局は4月25日、2023年上海知的財産権白書を発表した。

白書によると、2023年の上海の特許授権件数は15万9,100件で、そのうち発明特許授権件数は4万4,300件(前年比20.51%増)だった。PCT(特許協力条約)国際特許出願件数は6,185件(同10.62%増)だった。上海市で有効な発明特許保有数は24万1,400件(同19.53%増)、1万人当たりの高価値発明特許保有数は50.2件(同9.3件増)だった。商標の有効出願件数は261万3,500件(同7.66%増)、作品の著作権登記数は41万件(同8%増)を突破した。

司法保護に関して、2023年に上海市の裁判所が受理した知的財産権案件は6万6,120件(前年比56.87%増)、結審件数は5万9,026件(同38.03%増)で、一審の服判息訴率(注)は97%だった。権利侵害者への賠償総額は8億2,000万元(約180億4,000万円、1元=約22円)、そのうち、懲罰的賠償は5,000万元(同45.2%増)だった。上海市公安局が処理した知的財産権刑事案件は1,398件で、容疑者4,266人を逮捕し、案件に関わる金額は約52億9,000万元だった。

行政保護に関して、2023年に上海市と市内各区が処分した特許偽造案件は89件、取り締まった商標違法案件は1,452件で、罰金総額は1,591万8,800元に上った。また、上海知識産権局が受理した特許紛争案件は2,576件、結審件数は2,569件だった。さらに、上海市の著作権行政法執行部門が取り締まった著作権侵害案件は59件に上った。上海税関では権利侵害商品9,150ロットを差し押さえたという。

また、同日行われた上海市政府の記者会見では、上海市が外資系企業に対して行っている知的財産権保護の取り組みを紹介した。会見によると、過去3年間で累計60件余りの渉外特許侵害行政裁決案件を処理し、渉外商標侵害案件1,000件余りを取り締まった。また、外資系企業の関心の高い、行政区域をまたいだ各種知的財産の保護のため、省や市同士の法執行協力をさらに強化すると述べた。重大な広域的事件に関しては、国家知識産権局が行政裁決を出せるようにするなど、広域的な権利侵害行為への取り締まり体制を構築するという。上海市は「厳格な保護、広範囲・多手段の保護、迅速な保護、同等な保護」を基軸にした知的財産権保護体系を整備し、各国企業が上海で活動するために良好な知的財産権保護の環境整備を続けるとした。

(注)服判息訴率とは、一審で結審した案件のうち、裁判所の判決に従って上訴や申し立てをしなかった案件数の割合で、審判の質や効果を示す重要な指標になる。

(許蓓莉)

(中国)

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