在外ドイツ企業アンケート調査、中国経済の需要低迷をビジネスリスクと認識

(ドイツ)

ベルリン発

2024年05月20日

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は5月7日、在外ドイツ企業に対するアンケート調査「春季ワールド・ビジネス・アウトルックPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を公表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。アンケート調査は3月25日~4月21日に実施、ドイツ国外の会員企業約4,300社が回答した。回答企業の産業分野は鉱工業・建設業(38%)、サービス業(42%)、商業(20%)。

自社の事業の現状について、全世界平均(ドイツを除く、以下同じ)では「良い」が44%、「満足」が45%、「悪い」が11%の回答割合だった。DI値(「良い」の回答割合から「悪い」を引いた値)は33ポイントで、前回の秋季調査(2023年11月16日記事参照)から2ポイント改善した。地域別にみると、「良い」の回答割合が最も高かったのは中東・北アフリカの62%、最も低かった地域は中国・香港・台湾の19%だった。

向こう12カ月間の所在地の景気見通しの全世界平均は、「改善」が31%、「変わらない」が50%、「悪化」が19%だった。DI値は12ポイントで、前回調査のマイナス6ポイントから大幅改善。2015年以降の平均値2ポイントも大幅に上回る結果となった。

この結果を受けDIHKは、インフレ率の低下と利下げへの期待が相まって、景気に対する企業の期待感を改善させていると分析。一方、地政学的な緊張や貿易摩擦が続き、先行きに対する不透明感は増しており、その結果、自社の事業展開に対する期待はわずかな増加にとどまっていると指摘。ドイツ経済の低迷と、経済政策策定に対する不確実性が、多くの在外ドイツ企業が勢いを取り戻して具体的な投資計画を立てることを妨げているとし、DIHKのフォルカー・トライア対外経済部長は「懐疑的な見方や不確実性は依然として続いている」と述べた。

中国でのビジネスには忍耐が必要と指摘

多くの国外拠点で景気の改善を感じている一方、中国市場への期待感は再び曇りつつある。中国経済の需要低迷が続いており、8割の企業がビジネスリスクとして認識。ドイツ製品は品質、技術的優位性、イノベーションの面で依然として強みを持っているが、市場アクセスや、政府当局とのつながり、公共入札の情報入手といった面で、競合の中国企業と比べて競争上不利な点が増しており、ドイツ企業にとって課題になっていると分析。DIHKは「現在は中国でのビジネスには忍耐が必要」と指摘した。

(中山裕貴)

(ドイツ)

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