中小企業エキスポが開催、サステナビリティの重要性を強調

(英国)

ロンドン発

2024年05月08日

英国のロンドンで4月23~24日、中小企業エキスポが開催された。政府系機関や投資家、中小企業、スタートアップなどが集まり、ビジネス展開に関するセミナーやネットワーキングイベントを行った。100社以上が出展し、4,000人以上の中小企業の起業家や経営者が参加した。

英国の中小企業を取り巻く環境のリスクや可能性についての議論では、政府の支援が強調された。英国食品メーカーのリトル・ムーンズや飲料メーカーのダッシュ・ウォーターは政府から支援を受けており、情報提供や物流支援、中小企業が対象の税制優遇措置が大きな支援内容だとした。リスクとしては、ブレグジット(英国のEU離脱)によるEUとの貿易上の負の影響について議論がなされた。英国の著名投資家セオ・パフィティス氏は4月23日の基調講演で、デジタル化によって家からでも起業できるようになり、中小企業間の競争が激化していると指摘。そうした環境下で成功するには、さらなるイノベーションとコラボレーションが不可欠だとした。

エキスポでは、サステナビリティも大きく注目された。サステナブルビジネスに関するパネルディスカッションでは、電気自動車を使った宅配サービスを展開するパックフリートのトリスタン・トマス氏は、消費者の意識が変わりつつあるとし、利用者の2~3割は同社のサービスが持続可能だから利用していると指摘。一方、ジン製造のシップスミスのサム・ゴールズワージー氏は、当初は商品やビジネス展開に注力していたが、コスト削減のため水を多く消費するジンの冷却システムを持続可能な循環型に転換、結果としてサステナビリティに取り組むことになり、サステナビリティへの取り組みはコスト削減など多くのメリットをもたらすと主張した。また、トマス氏とゴールズワージー氏は、B Corp認証(注)の取得は消費者からの評価獲得や人材確保などで優位になるとコメントした。別のパネルディスカッションでは、投資会社ホートン・ストリート・ベンチャーズの登壇者が、B Corpなどの認証は必須ではなく、なんらかのかたちでサステナビリティを考慮していることを示すことができればよいと述べた。また、企業のレピュテーションリスクの高まりから、サステナビリティの重要性を強調した。

写真 サステナブルビジネスに関するパネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

サステナブルビジネスに関するパネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

(注)B Corp認証とは、米国の非営利団体「B Lab」によって始まった、環境や社会の持続可能性を考慮し、社会への説明責任を引き受ける企業に与えられる認証。エキスポに登壇した多くの企業はB Corp認証を取得。

(チャウジュリー・クリシュナ)

(英国)

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