米商務省、高リスク国への銃器輸出を原則不許可にする暫定最終規則を公示

(米国)

ニューヨーク発

2024年05月01日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は4月30日、高リスク国への銃器などの輸出申請を原則不許可にするなど、銃器、弾薬および関連部品の輸出許可(ライセンス)を改定する暫定最終規則(IFR)を官報で公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。合法的に輸出された銃器などが、地域の不安定化、麻薬取引、人権侵害、政治的暴力など米国の安全保障や外交政策上の利益を損なう活動に悪用されるリスクの低減などを目的としている。IFRは5月30日に発効する。

商務省の4月26日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、IFRによる主な変更点は次のとおりだ。

  • より厳格な審査基準:銃器が外国の犯罪者など悪意ある行為者に渡るのを防ぐため、国家安全保障と外交政策の観点から、テロのリスク、人権問題、国家の脆弱(ぜいじゃく)性、汚職、銃器の性能、横流しや不正使用の前例など、輸出許可申請を審査する際に考慮すべき要素を明確にした規制を実施する。
  • 国務省が特定する高リスク国での商取引に対する原則不許可:銃器輸出が、国家安全保障および外交政策に反する実質的なリスクがあると国務省が判断した仕向地に対する申請で、非政府事業体が受取人となる場合に、「原則不許可」の基準を適用する。国務省が特定した高リスク国は36カ国あり(注1)、銃器ガイダンス・メモランダムPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に記載されている。
  • データ収集と透明性:米国の製造業者が輸出している銃器を追跡するため、新たな輸出管理分類番号(ECCN)を採用し、銃器輸出に関するデータ収集を改善する。
  • 輸出許可申請者向け追加書類:銃器輸出に関する一般許可(General License、注2)の有効期間を4年から1年に短縮し、変化する安全保障環境に適応できるようにする。輸出管理体制が整備されていない国への輸出申請については、申請者に対して、発注書や輸入許可証などの追加書類の提出を求める。

BISは、今回のIFRに対するパブリックコメントを募集する。パブリックコメントは7月1日までに、連邦政府のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ID:BIS-2024-0003)から提出する必要がある。

また、BISは7月1日に、国務省が特定した仕向け地の非政府エンドユーザーへの銃器輸出を許可する現在有効なライセンスを取り消す。ライセンスの保有者は、今回のIFRで定められた新しい基準の下で審査するため、再申請が促されている。

(注1)バハマ、バングラデシュ、ベリーズ、ボリビア、ブルキナファソ、ブルンジ、チャド、コロンビア、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ガイアナ、ホンジュラス、インドネシア、ジャマイカ、カザフスタン、キルギス、ラオス、マレーシア、マリ、モザンビーク、ネパール、ニジェール、ナイジェリア、パキスタン、パナマ、パプアニューギニア、パラグアイ、ペルー、スリナム、タジキスタン、トリニダード・トバゴ、ウガンダ、ベトナム、イエメンの36カ国。

(注2)特定の要件を満たしている場合に、文書による許可を必要としない輸出に適用される。

(赤平大寿)

(米国)

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