バイデン米政権、非輸送部門のインフラ投資に係る定量的な成果発表
(米国)
ニューヨーク発
2024年05月14日
米国のバイデン政権は5月13日、インフラ整備に関するこれまでの成果をまとめたファクトシートを発表した(2024年5月14日記事参照)。米国で5月13~17日に実施中の「第12回インフラウイーク」に合わせたもの。同ファクトシートで言及した非輸送部門に関する主な内容は次のとおり。
(1)水インフラ
インフラ投資雇用法(IIJA)では、有毒な鉛管の交換や下水施設の整備など水インフラのアップグレードに500億ドル以上を投資することとしている。これまでに、部族コミュニティーでの800プロジェクトを含む1,400以上のプロジェクトに対して投資が行われている。
(2)高速インターネット回線
IIJAでは、高速インターネット回線へのアクセスのために、650億ドルを投資することとしている。インターネットサービスが提供されていない全ての地域でアクセスが可能となるよう、これまでに全ての州・準州により400億ドルを超える投資計画が策定されており、農村地域や部族地域におけるプロジェクトが進行している。
(3)送電網の近代化など
IIJAでは、送電網の現代化やクリーンエネルギーの実証プロジェクト、新技術の開発に620億ドル以上を投資することとしている。送電網の現代化に関しては、200億ドル以上を投資することとしており、これまでに60以上のプロジェクトを対象に、56億ドル以上の投資が発表されている。送電網以外の分野では、カリフォルニア州の原子力発電所の運転継続のため、11億ドルを上限とする資金供与を発表している(2022年11月22日記事参照)。
(4)インフラの強靭(きょうじん)化・サイバーセキュリティー
IIJAでは、物理的、気候変動、サイバーセキュリティーに関連する脅威からインフラやコミュニティーを保護するため、500億ドル以上を投資することとしている。これまでにIIJAとインフレ削減法(IRA)に基づいて、干ばつ対策や山火事のリスク軽減を含む4,100以上のプロジェクトに投資している。
(5)環境汚染対策
IIJAでは、土壌汚染対策として50億ドル、閉鎖された鉱山・油井・ガス井からの汚染物質対策に160億ドルを投資することとしている。これまで前者に関しては100以上のプロジェクト、後者に関しては8,000以上のプロジェクトに対して投資が行われている。
これらの非輸送部門のインフラ投資のうち、送電網の整備はバイデン政権が進める再生可能エネルギーの導入拡大と密接に関わる分野で、輸送部門の取り組みと合わせて、2050年カーボンネットゼロの達成に向けて不可欠なものだ。また、水インフラの整備や環境汚染対策はジョー・バイデン大統領が政権発足時から重視してきた環境正義に直結する。こうした点で、インフラ投資が円滑に進むかどうかは引き続き注目だ。
(加藤翔一)
(米国)
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