米アマゾン、カリフォルニア州で大型EVトラック輸送を開始

(米国)

サンフランシスコ発

2024年05月16日

米国の電子商取引最大手アマゾン(本社:ワシントン州シアトル市)は5月7日、同社の運送業務に大型電気自動トラック(EVトラック)を導入すると発表した。カリフォルニア州ロサンゼルス港で行われたデモンストレーションには、ロサンゼルス市のカレン・バス市長、ジーン・セロカ同港湾局長、アマゾン幹部らが参加した。バス市長は「気候変動対策のため、運輸部門での温室効果ガス(GHG)削減と経済活性化のために民間企業と協力していく」と述べた。

同社が導入した初の大型EVトラックは、ボルボのクラス8(注)の「VNR」だ。VNRは、総重量が8万2,000ポンド(約37.2トン)、航続距離が275マイル(約442.6キロメートル)だ。まず、ロサンゼルス港とロングビーチ港で8台投入し、2024年末に向けて50台導入する予定だという。この大型EVトラックは、貨物コンテナからの荷物の運搬や、長・中距離の顧客向け荷物配送に使用されるという。これにより、すでにラストワンマイル配送に使われているEV配達トラック(2022年7月29日記事参照)での配達分を含めると、年間で100万マイル(約161万キロ)以上、ゼロエミッションで走行するとのこと。

政策と補助金が港湾での脱炭素化を進めるカギに

「ロサンゼルス・タイムズ」紙(電子版5月7日)によると、同社はこの大型EVトラックの購入価格を公表していないが、ディーゼルトラックの一般的な価格が12万ドルに対して、同大型EVトラックは定価で30万ドルから50万ドルで販売されているものだという。ただし、州や連邦政府から低炭素排出車の購入に多額の補助金があり、大量購入による割引価格を得ることもできる立場にあるとしている。

ディーゼルトラックは低価格であるものの、同州の港湾では新規導入がすでに禁止され、運送業務の脱炭素化が進んでいる。同州北部のオークランド港では水素を動力源とする大型トラックが導入され、それら大型トラック用の水素ステーション開設の際も、民間を含め政府から多額の助成金が拠出されている(2023年8月22日記事2024年5月7日記事参照)。

(注)人員、貨物などを含む車両総重量が3万3,001ポンド(約15トン)以上の重さの大型トラック。

(松井美樹)

(米国)

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