憲法裁判所、大統領選に関する異議申し立て棄却

(インドネシア)

ジャカルタ発

2024年04月25日

インドネシア憲法裁判所は4月22日、2月14日に実施された大統領選挙(2024年2月15日記事参照)で落選したアニス・バスウェダン前ジャカルタ特別州知事と、ガンジャル・プラノウォ前中部ジャワ州知事の2陣営が求めていた選挙結果への異議申し立て(2024年3月26日記事参照)について、法的根拠が不十分として棄却する判決を言い渡した。

アニス氏とガンジャル氏の2陣営は縁故主義をはじめとする多くの不正があったとして、選挙結果の無効化や、副大統領候補だったギブラン・ラカブミン氏(中部ジャワ州スラカルタ市長)の立候補要件の失効、再選挙などを要求していた(「アンタラ通信」4月22日)。

憲法裁判所は、論点の1つとして挙げられた候補者の立候補要件変更にジョコ・ウィドド大統領が介入したとの原告側の主張について、確たる証拠はなかったと述べた。これまで大統領選の立候補要件は、正副大統領候補ともに40歳以上と定められていたが、憲法裁判所は2023年10月16日、「40歳以上または地方首長経験者は立候補を認める」との判決を出し、立候補要件の変更を認めていた。憲法裁判所の長官は当時、ジョコ大統領の妹婿のアンワル・ウスマン氏が務めており、国内では縁故主義ではないかとの批判が相次いでいた(2023年10月27日記事参照)。

また、選挙前にプラボウォ・スビアント氏陣営が実施した生活必需品の支給などの社会扶助施策が同陣営の当選に有利に働いたとする訴えについては、同施策が有権者の選択に影響を与える、もしくは強制したことを示す証拠はないと述べた。

同判決を受け、プラボウォ氏は憲法裁判所が両陣営の訴訟を棄却する決定をしたことに感謝していると述べた(「デティック」4月23日)。プラボウォ氏は10月20日に新大統領に就任する予定だ。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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