自由アルゼンチン再建債シリーズ3、需要乏しく入札が長期化

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2024年04月23日

アルゼンチン中央銀行は、4月10日と11日に自由アルゼンチン再建債(BOPREAL)シリーズ3の第5回入札を実施した(添付資料表参照)。シリーズ3の発行額30億ドルに対して、5回の入札の累計落札額は10億830万ドルにとどまった。

シリーズ3の需要が乏しい理由は、シリーズ1、シリーズ2に比べて魅力に欠けるからだ。まず、シリーズ1は金利が5%付き、購入に際してパイス税(注1)が免税される。一方、シリーズ2、3は、財の滞留輸入債務を抱えている場合はパイス税が17.5%課税される。シリーズ1は、債券を諸税の支払いに使うことができるが、シリーズ2、3はそれができない。しかし、シリーズ2は満期が短く、2024年7月から2025年6月までの間に12分割して償還される。シリーズ3は、金利は3%付くが、償還金を受け取れるのが最短で2025年11月となっている。シリーズ3は、シリーズ1、2と比べて中途半端な内容となっている。

もう1つ、シリーズ3の需要が乏しい理由は、公式為替レートとCCLレート(注2)の乖離幅が縮小し、滞留輸入債務の支払いにCCL取引を選択する事業者が増えているためとみられる。CCLは、コンタード・コン・リキダシオンの略称で、債券取引を介して国外で外貨を入手する取引だ。ただし、CCL取引の前後90暦日または180暦日の間、公式為替レートで外貨を購入できなくなるペナルティーがある。このCCL取引に介在する為替レートをCCLレートと呼ぶが、4月18日現在、公式為替レートにパイス税17.5%加えた為替レートは約1,022ドル、CCLレートは約1,066ドルと、2つの為替レートの差はほとんどなくなっている。

発行額全額が落札されたシリーズ1、シリーズ2と比べて、滞留輸入債務を抱える輸入者からの需要が乏しいことを受け、「外国サプライヤーに対する輸入に関する商業債務登録簿」に滞留輸入債務の登録を行った輸入者のみとしていた購入要件を排除した。その結果、登録の有無にかかわらず、滞留輸入債務を抱える輸入者はBOPREALを入札で購入することができるようになった。

シリーズ1、シリーズ2の入札は毎週行われたが、シリーズ3は入札が長期化し、その間隔が空き始めている。シリーズ3が全て落札されるには、しばらく時間がかかりそうだ。

(注1)財およびサービスの輸入代金の支払いに必要な外貨購入時に課される税。

(注2)優良スワップ取引(CCL)に介在する為替レート。ブルー・チップ・スワップ・レートとも呼ばれる。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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