ウクライナの1月の輸出額、前年同月比で増加に転じる

(ウクライナ)

ワルシャワ発

2024年03月29日

ウクライナ国家統計局は3月15日、同国の2024年1月の貿易統計速報値を発表した。輸出は34億ドルで前年同月比8.2%の増加。輸出が前年同月比で増加に転じたのは、2022年3月以来1年10カ月ぶり。輸入は50億7,810万ドルで前年同月比0.7%の微増にとどまった。貿易収支は16億7,810万ドルの赤字を記録し、依然として高い水準にある。

輸出を品目別にみると、鉱物製品が前年同月比2.1倍の3億2,920万ドルを記録したほか、鉄鋼(65.3%増)、加工食品(40.3%増)、動物性および植物性油脂(13.1%増)が輸出の増加に寄与した。減少したのは穀物(4.3%減、8億8,450万ドル)など。

輸入を品目別にみると、車両、航空機、船舶および輸送機器関連品が87.2%増の7億7,110万ドルを記録したほか、原子炉・ボイラーなど(65.8%増、4億6,850万ドル)も大きく増加した。その一方、石油・石油製品などの鉱物性燃料が60.6%減の5億8,110万ドルだった。

ロシアによるウクライナ侵攻以降、ウクライナの輸出入は大きく減少し、まだ戦前の水準には回復していない。貿易収支は2022年5月以降、毎月赤字を記録しており、月次ベースでの平均赤字額は約19億ドルとなっている。

国家統計局は2月14日、ウクライナの2023年の貿易統計速報値を発表した。それによると、2023年の輸出は361億8,620万ドルで前年比18%減少した一方、輸入は635億6,240万ドルと前年比14.9%増加した。貿易収支は273億7,620万ドルの大幅な赤字を記録し、前年の111億6,010万ドルの赤字から2倍以上拡大した。

ユリア・スビリデンコ第1副首相兼経済相は2023年の貿易統計に関し、海上輸送による輸出の増加を指摘した(2024年1月4日付プレスリリース)。12月の海上輸送による輸出量は前月比で約3割増加し、734万トンに達した。2023年全体では、海上輸送は前年比でほぼ100万トンの増加を記録しており、穀物だけでなく金属などの製品も海上輸送されている。

一方、自動車輸送による輸出は、ポーランドによる国境封鎖の影響により減少が続いている。12月の自動車輸送による輸出量は前月比で18.3%の減少を記録した。これを受け、ウクライナは鉄道などを使ったコンテナ輸送による輸出を大幅に増加させている。

スビリデンコ第1副首相兼経済相は2023年の貿易赤字の要因として、物流問題と防衛ニーズを挙げている。政府は2024年には防空システムを活用した輸出物流の強化と、新たな輸出ルートの開拓に引き続き取り組む姿勢だ。

(柴田哲男、坂口良平、柴田紗英)

(ウクライナ)

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