英政府、デジタル開発戦略を発表、低所得国の格差縮小に取り組む

(英国)

ロンドン発

2024年03月28日

英国のアンドリュー・ミッチェル外務・英連邦・開発省(FCDO)国務相は3月18日、2024年~2030年のデジタル開発戦略PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。戦略では「デジタル開発」を「より包摂的で持続可能、かつ責任あるデジタルトランスフォーメーション(DX)」と位置付け、低所得国のデジタル技術の格差縮小に取り組むことを目的としている。

同戦略では、次の4つの優先分野を定めている。

  • インターネット接続性の拡大:低所得国の地方部での基本的なインターネットアクセスの整備を支援する。2030年までにパートナー国20カ国以上のデジタル規制の改革、現地機関の能力強化を支援し、接続性の格差を半分に縮小させることを目指す。
  • デジタル公共インフラ:2030年までにパートナー国20カ国以上で決済サービスや電子政府の整備など、社会全体を対象とするデジタルサービスの普及を促進する。
  • 人工知能(AI):2030年までにアフリカの大学と協力し、最低8つのAI研究施設を拡大、または設立する。責任あるAIのための規制作りを支援する。
  • 女性への支援:女性が安全かつ有意義にデジタル技術による恩恵を享受できるよう支援する。そのために、2030年までに5,000万人以上の女性に対し、オンライン上での安全に関するアドバイスやトレーニングを提供する。

具体的には、民間企業や他国の政府など複数のステークホルダーとのデジタル開発に関して協力するほか、国際的な枠組みでデジタル開発に関する施策立案に関与するとしている。そのほか、デジタル開発に関する英国の専門性を生かすとした一方、技術の変化への対応など、自国のデジタル開発に関する能力強化に取り組むとしている。

さらに、デジタル開発の基盤整備として、デジタル経済への投資、デジタル民主主義、サイバーセキュリティー、デジタル産業のグリーン化(グリーンデジタル)に注力するとした。特に持続可能性の観点では、グリーンデジタルのほか、気候変動や生物多様性の損失への対応に向けたデジタル技術の活用(グリーン・ウィズ・デジタル)についても触れている。

(チャウジュリー・クリシュナ)

(英国)

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