英政府、CBAM導入に向けた意見公募を開始

(英国)

ロンドン発

2024年03月28日

英国政府は3月21日、炭素国境調整メカニズム(CBAM)導入に関するコンサルテーションを開始外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。CBAMの設計と管理に関する意見公募を行う。英国政府によるCBAMの具体的な制度・運用方針を示すとともに、利害関係者からの意見を求めることを目的に、6月13日まで実施される。

英国は2023年12月に、特定の炭素集約型輸入品(アルミニウム、セメント、セラミック、肥料、ガラス、水素、鉄鋼)を対象としてCBAMを2027年までに導入することを発表している(2023年12月20日記事参照)。意見公募では、2027年1月1日から導入するとして、製品レベルの対象範囲や、排出量の計算と検証などについて提案するとともに、対応する質問項目を提示。

CBAMは、英国の主要な炭素価格決定メカニズムの英国排出量取引制度(UK ETS)の政策を可能な限り忠実に反映しなければならないとした。すなわち、英国内で生産された場合に、UK ETSの対象となり、カーボンリーケージのリスク(注1)がある活動の結果として生産される商品のみを英国のCBAMの適用範囲に含める可能性を検討するとした。

排出量データの検証については、国際認定機関フォーラム(IAF)によって認定を受けた第三者機関による認証が求められると提案した。

また、海外との炭素価格との調整についても触れている。輸入されたCBAM対象商品に内包される(embodied)排出量が海外で明示的な炭素価格(注2)の対象となっており、輸入者がその証拠を提出することを選択した場合、CBAMに基づく責任を軽減することができるとした。その上で、海外の生産者が負担する炭素価格を引き下げる国内支援メカニズムや調整制度を考慮して、CBAMに基づく負担分を調整することを提案している。また、排出量同様、海外の炭素価格についても第三者機関による検証を求めている。

政府は、これらの各提案に対する課題の所在などについて意見を求めている。

(注1)気候政策に関するコストを理由に、企業が排出規制のより緩い他国に生産を移転したり、調達を排出規制の緩い国からの輸入に切り替えたりするリスク。

(注2)炭素税や排出量取引制度など、直接の排出者に排出価格を負担させる炭素価格。

(菅野真)

(英国)

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