中銀、自由アルゼンチン再建債の詳細を発表

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2024年01月05日

アルゼンチン政府とアルゼンチン中央銀行は2023年12月22日、中銀が発行するドル建て債券「自由アルゼンチン再建債(BOPREAL)」(2023年12月22日記事参照)に関連して、政令72/2023号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます中銀通達A7925PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)中銀通達B12695PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布した。また12月26日には、公共歳入連邦管理庁(AFIP)決議5469/2023号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、BOPREALが未払いの輸入代金の支払い手段の1つであることを確認した。

政令72/2023号は、2023年12月12日以前に輸入された財およびサービスの輸入に係る未払いの輸入代金を抱える輸入者は、BOPREALを租税および関税の債務の支払いに充てることができるとした。ただし、社会保障費、労働保険、医療保険、金融取引税(注)の支払いは対象外。また、これらの支払いに利用できるBOPREALは、2023年12月22日から2024年3月31日までの間に発行されたものに限るとした。BOPREALの購入には、「社会的包摂の促進と資金調達のための外貨購入に係る税」(通称パイス税)が課されるが、2024年1月31日まで購入した場合は免除するとした。

中銀通達B12695は、BOPREALの詳細を明らかにしており、それによると次の3つのシリーズを発行する。

  • シリーズ1:2023年12月26日に入札を開始。満期は2027年10月31日で、利息は年率5%。2回の分割償還日を設け、50%が償還される途中償還日は2027年4月30日。償還はドルで行われるが、期限前に償還する場合は、公式為替レート換算のペソで償還される。
  • シリーズ2:満期は2025年6月30日で無利息。12回の分割償還日を設け、1回目の償還は2024年7月31日。ドルで償還される。
  • シリーズ3:満期は2026年5月31日で、利息は年率3%。3回の分割償還日を設け、33%の途中償還日は2025年11月30日と2026年2月28日。満期に残り34%を償還。

シリーズ2と3の入札日は、「外国サプライヤーに対する輸入に関する商業債務登録簿」(2023年12月28日記事参照)への登録結果をみて、定める予定だ。

すべてのシリーズの準拠法はアルゼンチン法となっており、いずれも譲渡は可能。シリーズ1とシリーズ3は流通市場での取引を可能としている。シリーズ1の入札は、2023年12月26日から2024年1月末までで、入札は少なくとも週に2回行われ、入札へは金融機関を通じて参加する。

また中銀通達A7925は、2023年12月31日までに未払い輸入代金の残高の50%以上の金額のBOPREALを購入した場合は、2024年2月1日以降に債券の総価値の5%相当額の外貨へのアクセスと12月12日以前に輸入した財、サービスの輸入代金の支払いを認めるとしている。また、入札で取得した債券を外貨建てで売却しても、外国為替市場へのアクセスを制限しないとしている。

2023年12月27日付現地紙「インフォバエ」(電子版)によると、中央銀行債は大手企業には大きく役立つが、債券の購入に不慣れな中小企業にとっては理解が難しい、との指摘もある。また、輸入代金の返済を急ぐため期間の短い債券の発行が必要だ、との声も上がっている。

(注)金融取引税は、金融機関を通じて行われる入金・出金取引に課される税。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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