AMRO、2024年のASEAN+3経済成長予測を維持

(中国、香港、韓国、ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、日本)

シンガポール発

2024年01月22日

シンガポールにある国際機関「ASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)」は1月18日、ASEAN+3(中国・香港、日本、韓国)の実質GDP成長率の予測を発表した(AMROプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2024年は前年比4.5%と、2023年10月に発表した前回予測を維持した(2023年10月5日記事参照)。AMROは報告書で「底堅い内需の中、外需の改善に支えられる」との見方を示した。また「中国の不動産セクターの漸進的な回復と、観光産業が(新型コロナウイルスの)パンデミック以前の水準に戻ると予想されることも同地域の成長を支える」とした。

2024年のASEAN+3の消費者物価指数の上昇率(インフレ率)の予測は4.4%と、前回(3.8%)見通しから引き上げた。通貨安の影響からインフレが悪化しているラオスとミャンマー除いた地域の見通しは2.6%と前回予測と変わらない。「世界的な一次産品価格の正常化の継続に伴い、緩やかなトレンドが続く」との見通しを示す一方で、コアインフレ率(全体から物価変動が大きい品目を除いた物価上昇率)が高水準で推移していることから、複数の国で見通しを引き上げた。

AMROは、予測に与え得る主なリスクとして、(1)世界的な一次産品価格の急騰、(2)米国大統領選挙による悪影響、(3)米国と欧州の景気後退、(4)中国の経済成長の鈍化を挙げた。また、中長期的なリスクとして、米中間の地政学的緊張をASEAN+3地域が直面する主なリスクとして挙げた。

米中間の地政学的緊張による東南アジアへの影響に関する議論継続

米中間の地政学的緊張は東南アジアの政治・経済に影響することから、各所で議論が継続している。例えば、シンガポールのシンクタンクのISEASユソフ・イシャク研究所〔旧・東南アジア研究所(ISEAS)〕は2023年10月3日に「第38回ASEANラウンドテーブル」、1月10日に「リージョナル・アウトルック・フォーラム2024」を開催。ASEAN事務局関係者や学識者らを招聘(しょうへい)し、大国間の対立でのASEANの位置づけなどをテーマの1つとして取り上げている。

(朝倉啓介)

(中国、香港、韓国、ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、日本)

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