エチオピアとソマリランドのMoU署名で地域の緊張高まる

(エチオピア、ソマリア)

アディスアベバ発

2024年01月23日

エチオピアの首都アディスアベバで1月1日、同国のアビィ・アハメド首相とソマリランド(注:日本は国家として承認していない)のムセ・ビヒ・アブディ大統領との間で覚書の署名が行われた。報道によると、ソマリランドは沿岸20キロを商業港湾施設と軍事基地としてエチオピアに50年間貸与し、引き換えにエチオピアは国連加盟国としてソマリランドを初めて正式に国家として承認するとしている。

覚書について、エチオピア首相府は「両国間の多分野連携の枠組みとして機能することを目的としている。海へのアクセスを確保し、港へのアクセスを多様化させたいエチオピアの念願を実現するものとなる。また、安全保障、政治・経済パートナーシップの強化を図り、政治的・外交的関係を強化するものだ。この覚書は相互主義に基づく協力を通じて相互の利益を促進するエチオピア政府の原則的な立場を再確認するもの。アフリカの角の地域統合に大きな意味を持ち、エチオピアは地域の平和と安全の維持に役割を強化することができる」と発表している。

ソマリランドは、ソマリア北西部の旧英国領ソマリランド地域で、1991年5月に独立を宣言したものの、これまで国連加盟国で国家として承認している国はなかった。ソマリアはこの覚書を主権侵害だとして反発し、ジブチ、エチオピア、ソマリア、エリトリア、スーダン、南スーダン、ケニア、ウガンダの8カ国で構成する政府間開発機構(IGAD)の臨時会合の開催を呼びかけた。また、アラブ連盟もソマリアの主権侵害への拒否決議を採択した。これら一連の動きに対し、エチオピアが断固拒否表明を行うなど、地域の緊張が高まっている。

(中山泰弘)

(エチオピア、ソマリア)

ビジネス短信 3bcd61c2881056bb