COP28で世界冷房誓約が発表、2050年までに冷房のCO2排出量の最低68%削減を目指す

(アラブ首長国連邦、世界)

調査部中東アフリカ課

2023年12月08日

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)(2023年12月1日記事参照)で12月5日、「世界冷房誓約(Global Cooling Pledge)」が発表された。米国、英国、日本など63カ国が支持を表明した。

同誓約は「冷房機器関連の二酸化炭素(CO2)排出量を、2050年までに2022年と比較して最低68%削減する」ことを目指す。加えて、高効率空調機器とイノベーション技術の市場普及促進を支援するために協力し、遅くとも2030年までに、販売される新しい空調機器のエネルギー効率評価の世界平均を2022年と比較して50%向上することを目標とする。また、「世界冷房誓約」の実施支援を地方自治体や民間部門、金融機関などにも求めるとしている。

同日に発表された国連環境計画(UNEP)の報告書によると、現在、アフリカとアジアでは約12億人が冷房を使用できず、猛暑により命の危険にさらされ、農家の収入減少や食品ロスの増加にもつながっている。そのため、気候変動による気温の上昇を受けて、持続可能な冷房機器へのアクセスを増やしながら、エネルギー効率を上昇させ、冷房機器からの排出量削減に向けて協力することが重要だとしている。

冷房機器は現在、世界の総電力消費量の20%を占めており、2050年までに2倍以上になることが予想されている。しかし、断熱や日よけなどの受動的冷却対策や、より高いエネルギー効率基準の導入などの対策を行うことで、2050年までに予測排出量が最低60%削減され、新たに35億人がエアコンなどの冷却装置の恩恵を受けられるようになるほか、エンドユーザーの電気料金を1兆ドル削減できると予測している。

(久保田夏帆)

(アラブ首長国連邦、世界)

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