中銀、ドル建て中銀債を新規発行、輸入代金の不履行債務を抱える輸入者が購入対象

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年12月22日

アルゼンチン中央銀行は12月13日、中銀通達A7918PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布し、資本取引規制により輸入代金の支払いができず、商業債務を抱えている財、サービスの輸入者を対象としたドル建ての中央銀行債「自由アルゼンチン再建債(BOPREAL)」を発行するとした。

通達によると、この債券を購入できるのは財、サービス輸入者のみで、支払いができずに滞留している輸入代金の残高が購入金額の上限となっている。この債券は、公式為替レート(インターバンクレート)換算した通貨ペソで購入することができ、利息は年率最大5%、ドルで支払われる。中銀の外貨準備が枯渇しているため、今回の措置は、ドルではなく債券を輸入者に渡すことで、輸入者が抱える商業債務の支払期日をさらに延長させることを意味するとも言える。

ハビエル・ミレイ大統領は12月10日の就任演説で、支払いできずに滞留している輸入代金は300億ドルに達すると述べたが、580億ドルという民間の試算もある。また、公式なデータはないが、その大部分はグループ内取引とみられている。

アルゼンチングラフィック産業・関連産業連盟(FAIGA)は12月18日、商業庁長官に就任したパブロ・ラビン氏(Pablo Lavigne)が同連盟を訪問した際にBOPREALに言及した内容を明らかにした。それによると、さまざまな条件と満期を設定し、利率は年率5%で、アルゼンチン法に準拠するという。また、納税に使ったり譲渡したりできるようにすることで、債券の流動性をできる限り追求する、市場価格で決済される限りは外国為替市場での外貨の売買や債券の売買を通じて外貨を取得または売却する優良スワップ取引(CCL)を妨げない、輸入者の貿易債務残高の登録簿を公共歳入連邦管理庁(AFIP)が設けるなどと述べたという。

今回の措置に対しては、民間債務の国有化との批判の声も上がっている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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