英物流業界、紅海情勢の物流への影響について声明を発表

(英国)

ロンドン発

2023年12月22日

英国の物流業界団体ロジスティクスUKは12月19日、紅海の航行停止に関する現状について声明を発表した。声明の中で、紅海・スエズ運河の航路のサービス停止に伴い、喜望峰へ迂回する場合には、欧州の北部および地中海の港への推定到着日は約10日遅れる見込みとした。迂回と遅れに伴い、追加のコストが生じることになるとしている。さらに、停止が長引き、原油や天然ガスの輸送が影響を受ける場合は、製品価格の上昇にもつながりうるとしている。現在はアジアと欧州の北部・地中海をつなぐ航路が影響を受けているものの、現在の状況が悪化または継続すれば、他地域にも波及する恐れがあるとした。

一方、英国調査会社キャピタルエコノミクスは12月21日、輸送の混乱に伴い企業の投入コストが著しく増加した場合でも、需要の軟化と十分な在庫補充などにより最終消費者への価格転嫁の度合いは弱まるため、今回の航行停止が物価上昇をもたらす可能性は低いと予想している。

ジェトロが同21日、在英の日系物流企業に今後の影響見通しについて問い合わせたところ、喜望峰回りのルートへの変更に伴うリードタイムの延長とコストの増加が予想されるとの回答だった。また、航空便への貨物シフトも予想され、これにより航空貨物のスペースが逼迫し、航空運賃の高騰につながる恐れがあるとのコメントがあった。別の在英日系物流企業(1222日時点)によれば、航路の変更に伴い、状況にもよるものの約1420日前後の追加の日数がかかることが見込まれ、港の混雑状況などによってはさらに日数がかかると考えられる。一方航空運賃への影響については現時点では見受けられていないとのコメントだった。

(山田恭之)

(英国)

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