イスラエルの5つの海港は24時間365日休みなく稼働、イスラエル商工会議所連合会セミナー

(イスラエル)

テルアビブ発

2023年12月14日

イスラエル商工会議所連合会(FICC)は12月7日、「鉄の剣(作戦)とイスラエル経済への影響」と題するセミナーを開催した。

FICC国際委員会委員長のバイスプレジデントのアミール・シャニ氏はサプライチェーンの状況について、イスラエルの5つの海港は24時間365日休みなく稼働しており、ミサイルに対する特別な防御を備えているが、貨物運賃は上昇し、通関の遅延も予想されると説明した。イエメンのフーシ派による貨物船攻撃の脅威が高まる中で、イスラエルの経済水域を航行するイスラエル所有の船舶または外国所有の船舶は、船籍にかかわらず「戦争損害」の補償を受ける権利を有すると述べた。

航空貨物については、10月30日から11月19日までの間に収集されたデータによると、75%がイスラエルのエルアル航空やCALカーゴ・エアラインズなどの貨物機によってイスラエルに輸送されており、(それ以外の)商用機による輸送は25%にとどまっているという。テルアビブ郊外にあるベングリオン国際空港は、運航を維持することを決定した全ての航空会社を受け入れるとしている。

イスラエル銀行(中央銀行)副総裁のアンドリュー・アビル氏は、2022年の1人当たり購買力平価GDPが4万9,789ドル、過去3四半期のGDP成長率が3.14%、経常収支が黒字など、ハマスとの軍事衝突前のイスラエル経済が比較的良好な状態にあったことを指摘した。軍事衝突後も10年債利回りは安定しており、株式市場は急速に回復しているとした。インフレ率は徐々に低下しており、アビル氏は2024年第2四半期初めには3%程度まで安定すると予測している。

イスラエル中央銀行は通貨シェケルの大幅な下落を防ぐため、最大300億ドルの外貨を市場で売却する意向を発表したが(2023年10月25日記事参照)、イスラエル中銀の12月7日の発表によると、10~11月期に売られた外貨は85億ドルだった。「グローブス」紙(12月7日)によると、11月にシェケルが9%上昇したことから、11月の外貨売却額は3億ドルにとどまったという。

債務残高のGDP比は、軍事衝突前は約60%だったが、2023年末には63%、2024年末には66%になるとみている(2023年11月29日記事参照)。アビル氏によると、債務残高のGDP比を60%台に戻すことが、イスラエルの最大の経済的課題の1つになるという。

イスラエルとハマスの衝突の詳細については特集を参照。

(アンナ・ジュコブ、中溝丘)

(イスラエル)

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