中央アジアとコーカサスの物流連結性強まる

(ジョージア、中央アジア、コーカサス)

タシケント発

2023年11月07日

20222月のロシアによるウクライナ侵攻開始以来、中央アジアとコーカサスを結ぶ物流の連結性が強まっている。コーカサス地域のジョージアは、中央アジアと外洋である黒海を結ぶ要衝だ。ジョージアの自動車輸送業界団体、ジョージア国際道路運送業者協会(GIRCA、注1)のジア・チプリタ会長、ニノ・チヘイゼ事務局長に話を聞いた(113日)。

写真 GIRCAのチプリタ会長(右)、チヘイゼ事務局長(左)(ジェトロ撮影)

GIRCAのチプリタ会長(右)、チヘイゼ事務局長(左)(ジェトロ撮影)

(問)対ロシア制裁の影響で、中央アジアの物流がロシア経由からジョージア経由に切り替わっている。

(答)2022年は、ジョージア経由のトランジット輸送実績が前年比で約20%増加した。カザフスタン、アゼルバイジャン、ジョージア、トルコの4カ国政府間の協力も進み、書類面や料金面などで改善が見られる。ジョージア国内での自動車輸送インフラ整備も進んでいる。2024年内には、ジョージアを東西に結ぶ国際道路が完成する。ジョージアとアゼルバイジャン国境では、アジア開発銀行の支援で新たな国境通過ポイントとして自動車輸送貨物専用の統合検査場(注2)が設置される。ルーマニアのコンスタンツァ港とジョージアのポティ港を結ぶ自動車・トラック用フェリーは2隻目の就航が予定されており、ポティ港では港の拡張工事の準備が進んでいる。コーカサス地域の輸送能力は23年中に各段に増えるだろう。一方、現在、ジョージアのポティ港周辺での倉庫不足は深刻だ。カザフスタン物流企業がポティに積み替えターミナルの建設を開始しており、このような動きを歓迎する。

(問)中央アジアとコーカサスを結ぶ物流ルートの今後の期待について。

(答)ウズベキスタン経済が伸びるに比例して、ジョージアとの物流量も伸びている。同国との物流は、トルクメニスタンのトルクメンバシ港が重要な役割を果たしている。他国のトラック乗り入れの利便性向上など、国際自動車輸送分野でのさらなる協力推進を期待している。

写真 ポティ市内を走行するコンテナトラック(ジェトロ撮影)

ポティ市内を走行するコンテナトラック(ジェトロ撮影)

(注1)同協会は1992年設立。加盟企業は300社で、TIR条約(国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物の国際運送に関する通関条約)保証団体。

(注2)両国政府が共同で運営することで、国境での検査手続きを1回で終了させる。

(高橋淳)

(ジョージア、中央アジア、コーカサス)

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