脱炭素と経済成長の両立に向けた協力進める、東京GXウィーク

(日本、キルギス、タジキスタン、マレーシア、シンガポール、ラオス、カタール、アラブ首長国連邦、南アフリカ共和国、パラグアイ、ドイツ、ASEAN)

調査部国際経済課

2023年10月02日

GX(グリーントランスフォーメーション)の実現を目指し、エネルギー・環境関連の国際会議を集中的に開催する「東京GXウィーク外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が9月25日、経済産業省の主催で開幕した。同日には、プレナリーセッション外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが開催され、参加する37カ国・国際機関の代表(オンラインスピーチによる参加を含む)が一堂に会した。日本からは、(1)経済成長、(2)エネルギー安定供給、(3)脱炭素化の3つを同時に達成すること、多様な道筋でのエネルギー移行の必要性やイノベーションを通じた課題の解決、それを支えるファイナンスの必要性について各国と共有した。

来日した各国代表、国際機関代表と日本の閣僚とのバイ会談もそれぞれ行われた。2023年11月に開催される予定の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の議長国であるアラブ首長国連邦(UAE)のスルタン・アフマド・アル・ジャーベル産業・先端技術相兼アブダビ国営石油会社(ADNOC)CEO(最高経営責任者)(2023年1月17日記事参照)と西村康稔経済産業相との会談では、COP28議長国のUAEとG7議長国である日本が連携していくことを確認した。

また、閣僚級会合として、第3回アジアグリーン成長パートナーシップ閣僚会合外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます第6回水素閣僚会議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが開催された。第6回水素閣僚会議には、23カ国・地域・機関が参加した。近年、各国・地域では水素戦略の策定を進めている(地域・分析レポート特集「各国が描く水素サプライチェーンの未来」参照)。議長サマリーPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))によると、2018年の第1回水素閣僚会議以降、41カ国が国家水素戦略を策定し、さらに10カ国以上が国家水素戦略を準備中または策定予定。本会議では、2030年に向けて水素需要量1億5,000万トン、そのうち再生可能および低炭素水素(注1)需要量を9,000万トンとするグローバルな目標を追加し、この目標を達成するためにもインフラ支援拡充や規制の標準化の重要性が強調された。2023年4月のG7(札幌)気候・エネルギー・環境相会合(2023年4月18日記事参照)では、水素取引市場の立ち上げに向け、炭素集約度(注2)に基づいた国際標準・相互認証の開発の加速化が議論されたが、その取り組みをG7以外の国・地域とも共有し、水素サプライチェーンの構築を目指す。

東京GXウィークは10月5日まで、アンモニアサプライチェーン、グリーンイノベーションなどに焦点を当てた国際会議が開催される。

(注1)定義はさまざまあるが、再生可能エネルギー由来のグリーン電力を使用して水を電気分解し、水素を生成する方法などがある。

(注2)エネルギー単位当たりの二酸化炭素(CO2)排出量。炭素強度とも呼ばれている。

(板谷幸歩)

(日本、キルギス、タジキスタン、マレーシア、シンガポール、ラオス、カタール、アラブ首長国連邦、南アフリカ共和国、パラグアイ、ドイツ、ASEAN)

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