10月17日開催の「一帯一路」フォーラムに先立ち、10年分の成果まとめた白書発表

(中国)

武漢発

2023年10月16日

中国国務院新聞弁公室は10月10日、「一帯一路の共同建設:人類運命共同体構築の重大な実践」の白書を発表した。白書は、2013年に提唱されてから10年の節目を迎えた「一帯一路」構想に関する報告書となっており、ケニアのモンバサ・ナイロビ鉄道や中国ラオス鉄道(2021年12月9日記事2022年5月23日記事参照)などの事例を引き合いに出しつつ、「一帯一路」構想の成果をアピールしている(注1)。

白書では、中国による「一帯一路」構想参加国に対する対外直接投資は2,400億ドルを超えるとしている。また、2022年の「一帯一路」構想参加国との貿易額は前年比12.5%増の2兆8,446億4,000万ドルで、中国の貿易額全体の45.4%と、半数近くを占めていると紹介した。

さらに、2022年1月1日に地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が正式に発効したことや、中国の提唱した「一帯一路」貿易円滑化協力イニシアチブに80以上の国や国際機関が2023年8月末までに参加したことを挙げた上で、中国は包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)や、デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)への加入を積極的に推進していくとした。

白書では、中国と欧州などの国を結ぶ貨物鉄道の中欧班列についても言及している。中欧班列の運行本数は一貫して増加傾向にあり、2022年は前年比9.1%増の1万6,562本、輸送したコンテナ数は10.2%増の161万4,000TEU(1TEU=20フィートコンテナ換算)に上ったとしている。

また白書は、過去10年を「一帯一路」建設の序章にすぎないとしており、今後さらにイノベーションと活力を伴わせ、開放と受容を実践し、中国と世界のために新たなチャンスを提供していくとしている。

3回目の「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラム開催を予定

中国外交部は10月11日、北京市で10月17日と18日に第3回「一帯一路』国際協力ハイレベルフォーラムを開催することを発表した。「質の高い『一帯一路』共同建設、手を取り合って共同発展・繁栄を実現」をテーマに掲げた同フォーラムには、習近平国家主席が出席して基調講演を行うほか、国外からの来賓も招いた各種の活動が行われる(注2)。

(注1)白書によると、中国は2023年6月末までに150余りの国、30の国際機関と200件余りの「一帯一路」共同建設の協力文書に署名している。

(注2)外交部の汪文斌報道官は9月26日、同フォーラムには既に130余りの国の代表や多くの国際機関が参加を表明していると紹介している。

(楢橋広基)

(中国)

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