UNCTAD、ロシア経済は2024年に減速の見通し

(ロシア)

調査部欧州課

2023年10月13日

国連貿易開発会議(UNCTAD)は10月4日、「貿易開発報告書2023」を発表した(2023年10月10日記事参照)。ロシアの経済成長率は2023年2.2%、2024年は1.9%になると予測。4月時点の予測と比較して2023年は3.6ポイントの上方修正となったが、2024年は鈍化する見通しだ。

UNCTADは最近のロシア経済について、ウクライナ侵攻を受けた外需の大幅な減少や、通貨ルーブル安、公的債務の負担増加を課題に挙げた。ルーブル安による影響として(2023年8月22日記事参照)、外国製品に対するロシアの購買力が低下していると指摘した。財政については、これまで政府は借り入れを増やし、公的支出によって経済を下支えしていたが、今後は財政不安が高まると分析した。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は10月5日、ロシアのソチで開催された世界の有識者とのディスカッションの場であるバルダイ会議で、ロシアの実質GDP成長率は2023年に2.8〜3%になると述べた。財政収支は、国防費や安全保障の支出が前年比で2倍に増えているが、第3四半期(7~9月)に6,600億ルーブル(約9,900億円、1ルーブル=約1.5円)超の黒字で、2023~2025年の財政赤字は1%程度にとどまり、健全な財政との見方を述べた(2023年8月15日記事参照)。経済成長については、石油・ガス収入が減少したが、製造業を中心にプラスの成長をしていると強調した(2023年10月5日記事参照)。

ロシア経済発展省は9月29日、実質GDP成長率の予測値を2023年2.8%、2024~2025年2.3%、2026年は2.2%になると発表している。

(小野塚信)

(ロシア)

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