2022年のGHG排出量、世界全体は増加もEUは減少、削減率はルクセンブルクがEU内トップ

(EU)

ブリュッセル発

2023年10月31日

欧州委員会の共同研究センター(JRC)は10月19日、2022年の温室効果ガス(GHG)排出量について、世界全体では前年比1.4%増加した一方で、EUは0.8%減だったとする報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同報告書は欧州委の大気研究のための排出量データベース(EDGAR)に基づき、国際エネルギー機関(IEA)と協力して作成された。

2022年の世界のGHG排出量は、新型コロナウイルス感染拡大後の経済活動の回復により、過去最高の53.8ギガトン〔二酸化炭素(CO2)換算、1ギガトン=10億トン)に達した。新型コロナ感染拡大の影響により2020年は前年比3.7%減だったが、2021年は前年比4.8%増と増加に転じていた。2022年は前年比1.4%増、2019年比2.3%増となった。

他方、EUは、2021年のGHG排出量は前年比5.6%増と大きく伸びたものの、2022年は前年比0.8%減(2019年比3.4%減)となり、数十年にわたる減少傾向を維持した。長期的にみると、排出量上位国・地域の中で、EUは経済成長を遂げながら、1990年以来GHG排出量を最も削減している。世界の排出量に占めるEUの割合は、1990年の14.8%から2022年は6.7%と半減した。

2022年のGHG排出量をEU加盟国別でみると、排出量を前年から最も削減した加盟国はルクセンブルクで、11.1%減だった。続いて、ベルギー(6.4%減)、リトアニア(6.3%減)、エストニア(6.3%減)、オランダ(6.1%減)だった。排出量が前年比で最も増加した国はブルガリア(8.0%増)で、スペイン(7.4%増)、ポルトガル(3.7%増)、ギリシャ(3.4%増)、アイルランド(2.2%増)、マルタ(2.0%増)が続いた。EU全体に占める排出量の割合は、ドイツが引き続き最大の排出国(21.9%)で、フランス(12.0%)、ポーランド(11.2%)、イタリア(11.0%)、スペイン(9.2%)が続いた。

(大中登紀子)

(EU)

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