モルディブ大統領選、野党候補優位で決選投票へ

(モルディブ)

コロンボ発

2023年09月12日

モルディブで9月9日、大統領選挙が実施された。現地報道によると、現職大統領として2期目の当選を目指すモルディブ民主党(Maldivian Democratic Party:MDP)のイブラヒム・モハメド・ソーリフ氏は39%の得票に終わり、モルディブ進歩党(Progressive Party of Maldives:PPM)および人民国民会議(People’s National Congress:PNC)の連合が支持する、マーレ市長である野党候補のモハメド・ムイズ氏が46%を獲得したと報じられている。しかし、いずれの候補者も50%以上の得票を確保していないため、9月30日に両者による決選投票を行う予定だという。9日の選挙では7%の得票にとどまり3位に終わった、モハメド・ナシード元大統領が支持した民主党(The Democrats)のイリヤス・ラビーブ氏の動向が注目されている。

今回の大統領選挙において、海外メディアは、モルディブで角逐(かくちく)を展開するインドと中国の外交関係への影響に注目して報道している。各報道によると、親インド派と目されるソーリフ氏は2018年の大統領選挙で、「一帯一路」構想を掲げる中国の資金により大型インフラ開発を推進した当時のアブドラ・ヤミーン大統領を破って当選した。大統領就任後は、インフラ開発における協力などを通じ、インドとの友好的な関係を推し進めてきた。他方、親中派とみられるムイズ氏は、インドのモルディブへ与える影響力の拡大に対して否定的な立場を示し、同国に駐留するインド軍隊の撤退を求めている(「AP通信」「ロイター」紙2023年9月10日、「アルジャジーラ」紙9月9日)。

ソーリフ氏は、医療施設や教育機関の拡大など、国民の生活の質の向上に向けた公約を掲げていた。他方、ムイズ氏は、ヤミーン前政権期に住宅相を務めた経験から、住宅の拡大を公約していた。また、ラビーブ氏は、気候変動対策として再生可能エネルギーの導入を強調していた。

(大井裕貴)

(モルディブ)

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