ウクライナ中銀、政策金利を20%に引き下げ

(ウクライナ)

調査部欧州課

2023年09月27日

ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)は9月15日、主要政策金利を22%から20%に引き下げた。利下げの理由として、インフレ率が低下していること、外貨準備高が増加し、外国為替相場を安定させる余地が拡大していること、国内経済の回復を下支えすることを挙げた(9月14日付プレスリリース)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

国内ではインフレ率の低下が続いており(2023年8月7日記事参照)、7月は前年同月比11.3%、8月は食品の供給増が寄与し、同8.6%となった。今後の見通しについてNBUは、数カ月間は農産物収穫量の増加が物価上昇圧力を抑制するが、急速に鈍化する可能性はないと説明した。また、インフレ率の低下が通貨フリブニャ為替レートの安定や期待インフレ率の抑制に寄与していると指摘した。他方で、物価上昇のリスクとして、戦争によるインフラや経済活動への被害、欧州諸国のウクライナに対する貿易制限、エネルギー価格の高騰を挙げた。

8月末の外貨準備高は、前年同月比150億ドル増の404億ドルとなった。NBUは、引き続きインフレを抑制するため外国為替市場の安定に取り組むとし、公的資金の注入により十分な外貨準備を維持する方針だ。他方で、戦争の長期化により防衛費の支出が財政を逼迫させるため、NBUは財源を確保するためにも引き続き国際社会からの支援が必要で、IMFから受けている支援の条件を順守する必要があると説明した(2023年4月5日記事参照)。

今後の金融政策についてNBUは、外国為替市場やインフレの状況を注視しながら引き下げる方針と説明している。次の理事会は2023年10月26日に予定されている。

(小野塚信)

(ウクライナ)

ビジネス短信 7624e7bacdf4cef4