2023年4~6月、日本企業の海外現地法人売上高は3期ぶりにプラス

(世界、日本、北米、アジア、中国、欧州)

調査部国際経済課

2023年09月29日

経済産業省は9月27日、「海外現地法人四半期調査(2023年4~6月期)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同調査によると、2023年第2四半期の日本企業の海外現地法人における売上高(ドルベース)は、前年同期比3.0%増となった。中国をはじめアジアでの売上高は減少が続いているものの、欧米で輸送機械を中心に売上高が伸び、海外現地法人全体としては3期ぶりにプラスとなった。

海外現地法人の地域別売上高をみると、北米が16.6%増と4期連続で前年同期比プラスの伸び(添付資料図1参照)となった。2022年後半から半導体不足の緩和を受けて、輸送機械(31.8%増)の売り上げ増が牽引した(添付資料図3参照)。国別では、自動車関連企業が集積するメキシコが31.8%の大幅増となったほか、米国も14.6%増と堅調に推移した。

欧州での売上高も前年同期比7.0%増と2期連続でのプラスとなった。特に輸送機械(12.7%増)や汎(はん)用等機械(3.8%増)が全体を押し上げた。現地法人が多く進出する英国(18.9%増)、フランス(13.5%増)、ドイツ(8.1%増)でいずれも売上高が拡大した。

一方、アジアの現地法人の売上高は、景気減速の影響などを受け、前年同期比6.0%減と3期連続のマイナスになった。中でも中国は、輸送機械(10.8%減)や汎用等機械(16.4%減)の現地向け売上高が落ち込み、10.0%減となった(添付資料図4参照)。ただし、2割減となった第1四半期(24.0%減)と比べ、マイナス幅は縮小し、回復の兆候もみられる。

ASEANでも、経済成長の減速を背景に、売上高は前年同期比4.6%減と低迷し、2022年第4四半期から3期連続の減少となった。日本向けの売上高が増加した輸送機械(3.5%増)などを除き、大半の業種でマイナスになった。マレーシア(16.5%減)、ベトナム(9.9%減)、インドネシア(4.1%減)の売上高はいずれも減少した。他方、タイ(0.5%増)がわずかに増加に転じたほか、インドは16.0%増と2020年第4四半期以降、11期連続で売り上げ拡大が続いている。

なお、海外現地法人の地域別売上高の構成比は、北米(構成比:31.9%)、ASEAN(20.8%)、中国(香港を含む、19.2%)で全体の7割を占めたほか、欧州(11.6%)、その他(9.8%)、その他アジア(6.9%)が続いた(添付資料図2参照)。

(森詩織)

(世界、日本、北米、アジア、中国、欧州)

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