ロシア・アフリカサミット開催、ロシアは食料輸出によるアフリカへの貢献アピール

(ロシア、アフリカ)

調査部欧州課

2023年08月02日

ロシア・アフリカサミットが7月27、28日の2日間、ロシアのサンクトペテルブルクで開催された。49カ国が参加し、うち首脳級が出席したアフリカ諸国は17カ国にとどまった(「インターファクス通信」2023年7月25日)。

同会議は政治、安全保障、経済などさまざまな分野でロシアとアフリカ諸国との包括的かつ対等な協力関係強化に貢献することが目的。会議の成果として首脳会議宣言のほかに、宇宙での軍拡競争防止、国際情報セキュリティー分野の協力、テロとの闘いでの協力強化に関する宣言、2026年までのロシア・アフリカ間パートナーシップの行動計画を採択した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は会議後の記者会見で、アフリカ諸国に対して12億ルーブル(約18億円、1ルーブル=約1.5円)規模の感染症対策支援プログラムを開始すると発表した。ロシア国営原子力会社ロスアトムは平和的利用のため、原子力エネルギー分野の協力発展に関する合意文書をエチオピアと署名した。

そのほか、プーチン大統領は会議で穀物輸出について言及した。2022年のロシアからアフリカへの穀物の供給量が1,150万トンに上り、2023年は上半期だけで1,000万トン近くになったと強調。加えて、今後3~4カ月の間にアフリカの6カ国にそれぞれ2万5,000トンから5万トンの穀物を無償で提供する準備があるとも表明し、ロシアがアフリカに対して農産物を供給し続けることをアピールした。ロシアは7月17日に黒海を通じたウクライナ産穀物輸出に関する合意「黒海穀物イニシアチブ」からの脱退を発表し(2023年7月20日記事参照)、今後の穀物供給について懸念の声が上がっていた。そのような状況下で、穀物輸出を通じてアフリカ諸国との関係を維持し続けたいというロシアの姿勢を明らかにしたかたちだ。

この会議は今回で2回目を数える。1回目の前回は2019年10月にロシアのソチで開催され、アフリカからは54カ国が参加、うち45カ国(注)から首脳級が出席した(2019年10月31日記事参照)。それと比較し、今回の首脳級の出席者数は半数以下となった。

写真 ロシア・アフリカサミット開催時のサンクトペテルブルク市街の様子(ジェトロ撮影)

ロシア・アフリカサミット開催時のサンクトペテルブルク市街の様子(ジェトロ撮影)

(注)公式サイトでの発表数。一部報道では43カ国と伝えているものもある。

(後藤大輝)

(ロシア、アフリカ)

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