中銀、政策金利を3年ぶりに引き下げ

(ブラジル)

サンパウロ発

2023年08月08日

ブラジル中央銀行の金融政策委員会(Copom)は8月2日、政策金利(Selic)をこれまで7会合連続(注1)で据え置いていた13.75%から0.50ポイント引き下げ、13.25%にすることを決定した。理由について、中銀はインフレ状況が改善したためと説明している。2020年8月5日以来、3年ぶりの引き下げとなる。ただし、インフレ率は目標値を超えているため、Copomはさらなる利下げは慎重に行う必要があるとの見方を示している。

6月21日の前回Copom会議の直前に発表された6月16日付の中銀週次レポート「フォーカス」(注2)によると、代表的な物価指数の拡大消費者物価指数(IPCA)の見通しは、2023年が5.12%となっていた。一方、7月28日付見通しでは4.84%だった。インフレ状況が改善したものの、中銀と連邦政府が設定する2023年のインフレ目標値3.25%(上限許容幅1.5%)は引き続き超えている。

今回のCopomでは、引き下げ幅を0.25ポイントにとどめるべきとの意見もあったが、5対4の賛成多数で0.50ポイントの引き下げとなった。Copomは今後もインフレの鈍化傾向が続けば、あらためて0.50ポイントの引き下げを行うことを示唆している。8月7日付のフォーカスによると、2023年末時点の政策金利の見通しは前回予想の12.00%から11.75%に低下した。

ブラジル全国工業連盟(CNI)はCopomの決定を評価している。ホブソン・アンドラーデ会長は「的確な判断だった。インフレの抑制を妨げることはなく、産業界や経済全体の悪化に歯止めをかけることができる」と述べた(8月2日付CNI公式サイト)。ブラジル不動産開発業者協会(Abrainc)や、ブラジル建設工業会議所(CBIC)、サンパウロ州商業連盟(Fecomercio-SP)など多数の業界団体も、公式サイトを通じ、政策金利引き下げを歓迎している。

(注1)金融政策委員会(Copom)は中央銀行の9人の委員からなり、年間8回、45日おきに政策金利決定の会合を実施している。2022年8月の会合でSelicが13.75%に決定して以降、6月21日の前回会合までの7回、政策金利は据え置いていた。

(注2)フォーカスは、中銀がブラジル国内100機関以上の金融機関を対象に行った予測をアンケートでまとめたもの。毎週金曜日の集計を基に平均値を算出し、翌週の月曜日に公表される。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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