サウジアラビアでウクライナ和平会議を開催

(サウジアラビア、ウクライナ、ロシア、中国、BRICS)

リヤド発

2023年08月07日

サウジアラビアは8月5日、ウクライナや欧米諸国、中国、インドなど約40カ国の国家安全保障顧問や各国代表を西部の商業都市ジッダに招き、ウクライナ和平会議を開催した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同会議の開催見込みについては、米紙「ウォールストリート・ジャーナル」が7月29日に報道していた(2023年7月31日記事参照)。

サウジアラビア政府は、今回の会議が政治的・外交的手段を通じた紛争解決につながるよう、国際平和と安全保障を強化し、国際レベルでの意見交換や調整、検討によって対話と協力が促進されることを期待するとしている〔8月5日付サウジアラビア国営通信(SPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

今回の会議は、6月24日にデンマーク・コペンハーゲンで開催された会議に続くもので、世界経済に打撃を与えているウクライナ情勢の平和的終結に向け、ウクライナがグローバル・サウス(注1)の国々に働きかけ、支持を得ようとする外交的施策の1つだ。会議では、ウクライナが提案した10項目の和平合意案について議論をしたと報じられている(8月5日付「アラブ・ニュース」)。

今回の会議にロシアは招待されていない。デンマークでの前回会議への参加を見送った中国はサウジアラビアの招待に応じるかたちで参加し、他のBRICS(注2)諸国も、ロシアとの関係性を維持しつつも、今回の会議に参加した。ロシアは、同会議に参加したBRICS諸国と今回の協議結果について議論したいとの意向を示している(8月6日付「タス通信」)。

サウジアラビアは、ウクライナ情勢の初期段階から、ロシアとウクライナ両国間の仲裁役の1カ国として、積極的な動きを見せてきた(2022年3月7日記事参照)。2023年5月にジッダで開催されたアラブ連盟首脳会議では、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領を招いた(2023年5月22日記事参照)。

(注1)インドやインドネシア、南アフリカ共和国など、主に南半球に位置するアフリカ、ラテンアメリカ、アジアの新興国・途上国の総称。

(注2)ブラジル、ロシア、インド、中国、南アの5カ国で構成する新興国のグループ。

(位田陸)

(サウジアラビア、ウクライナ、ロシア、中国、BRICS)

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