英政府が石油・ガス開発やCCUSクラスター支援、再エネオークションへの予算も追加へ

(英国)

ロンドン発

2023年08月04日

英国政府と北海移行規制機関(NSTA、旧・英国石油ガス規制機関)は7月31日、北海における石油・ガス開発ライセンスを新規に発行する方針を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2022年10月から2023年1月にかけて募集したラウンドに基づき、今秋にも100件以上の新規ライセンスを付与する予定。

英国政府は、エネルギー安全保障の観点から、急激な石油・ガスの減産は避けるべきとしている。新規ライセンスの発行により、20万人以上の雇用が維持される見通し。

併せて政府は、英国における二酸化炭素の回収・有効利用・貯留(CCUS)産業クラスターとして、新たに2件のプロジェクトを選定した。今回対象となったのは、ストレッガ、シェル、ハーバー・エナジーなどがスコットランド北東部で手掛けるエイコーン・プロジェクトと、ハーバー・エナジー、BPなどがイングランド北東部ハンバーで手掛けるバイキング・プロジェクト。なお 、エイコーン・プロジェクトのストレッガには、三井物産が出資している。

英国では、同様の産業クラスターの第1弾として、イングランド北東部ティーズサイドのイースト・コースト・クラスターと、ウェールズ北部およびイングランド西部のハイネットが選定されていた(2022年11月29日付調査レポート2023年3月7日付調査レポート参照)。

官民の協力を確認、再エネオークションの予算は増額へ

8月2日には、エネルギー安全保障・ネットゼロ省が英国の主要エネルギー企業とラウンドテーブル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開催した。EDFやSSE、シェル、BPといった英国における主要エネルギー企業が低炭素インフラプロジェクトの概要を説明。政府と産業界が、エネルギー安全保障の確保やネットゼロ達成に向け、エネルギー部門全体で協力することの重要性を確認した。

8月3日には、再生可能エネルギー支援スキームの差額決済契約(Contracts for Difference:CfD)制度(注)による第5回オークションへの政府資金提供について、2,200万ポンド(約39億8,200万円、1ポンド=約181円)追加することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(添付資料表参照、2023年4月5日記事参照)。オークション全体で、2億2,700万ポンドの予算が投じられることとなった。

(注)発電事業者の再生可能エネルギーへの投資リスクを減らすため、運転開始から15年間、対象となる電源の固定価格と市場価格の間の変動する差額を政府が補填(ほてん)する制度。事業者はオークションで、技術ごとに自社の固定価格と設備容量を提示し競う(2021年5月21日付調査レポートの21ページ以降参照)。

(菅野真)

(英国)

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