アフリカ7カ国の代表がウクライナとロシアを訪問

(アフリカ、ウクライナ、ロシア)

中東アフリカ課

2023年06月20日

6月16~17日にかけて、アフリカ7カ国からの代表団がウクライナとロシアを訪問し、ボロディミル・ゼレンスキー大統領およびウラジーミル・プーチン大統領とそれぞれ会談した。南アフリカ共和国からシリル・ラマポーザ大統領、アフリカ連合(AU)議長国のコモロからアザリ・アスマニ大統領、セネガルからマッキー・サル大統領、ザンビアからハカインデ・ヒチレマ大統領、エジプトからムスタファ・マドブーリー首相が参加したほか、コンゴ共和国とウガンダからはそれぞれ大統領特使が参加した。

16日にウクライナの首都キーウで行われたゼレンスキー大統領との会談で、南アのラマポーザ大統領は今回の訪問の目的として「アフリカの視点を共有する」ことを挙げ、ウクライナ情勢について外交・交渉による紛争解決を求めた。一方、ゼレンスキー大統領は「ロシアが戦争の唯一の原因であり、この戦争の結果が世界に害を及ぼしている」とした上で、ロシア軍の撤退が紛争解決の唯一の手段だと強調した。また同大統領は、食料安全保障について、黒海を通じたウクライナ産穀物輸出に関する合意「黒海穀物イニシアチブ」や「グレイン・フロム・ウクライナ」プログラム(2022年12月12日記事参照)の成果に触れた上で、アフリカで「穀物ハブ」の整備に取り組んでいることを強調した。

翌17日にアフリカ代表団は、ロシアのサンクトペテルブルクでプーチン大統領と会談。ウクライナ紛争の平和的解決に向けた10のプランを提示するなど、外交努力による解決をあらためて求めた。一方、プーチン大統領は、アフリカ諸国はウクライナ情勢においてバランスのとれた態度と危機の解決に向け積極的な姿勢を示しているとした上で、ロシアが「建設的な対話にオープンである」ことを強調しつつも、交渉を拒否しているのはウクライナ側だと述べた。また、世界的な食料価格の高騰については、その責任は欧米にあるとした。

なお、ウクライナ情勢を巡っては、南ア、セネガル、コンゴ共和国、ウガンダが国連の対ロシア非難決議で棄権または不参加となっており、エジプト、ザンビア、コモロが賛成票を投じている(2023年2月27日記事参照)。5月後半には、ウクライナのドミトロ・クレバ外相とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が相次いでアフリカを歴訪したほか、上述の国連決議で反対票を投じているエリトリアのイサイアス・アフェウェルキ大統領がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談していた(2023年6月8日記事参照)。

(梶原大夢)

(アフリカ、ウクライナ、ロシア)

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