在中国ドイツ企業、新型コロナ沈静化後も中国でのビジネス拡大に慎重姿勢

(ドイツ、中国)

ミュンヘン発

2023年06月21日

中国に進出したドイツ企業で構成する在中国ドイツ商工会議所(中国ドイツ商会)は6月8日、在中国ドイツ企業に対して行った新型コロナ禍沈静化後の景況感アンケート調査結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同調査結果から、在中国ドイツ企業は、中国のゼロコロナ政策終了後も、想定より遅い市場の回復や、地政学的緊張の高まりなどを理由に、中国での投資やビジネス拡大に慎重な姿勢を示していることが分かった。

今回の調査は2023年5月9~17日に実施し、在中国ドイツ企業288社が回答した。回答企業の中国での雇用者数は「11~250人」が56.3%で最多、「251~1,000人」が18.75%と続いた。産業別の分布は、その他(33%)、機械/産業機器(30%)、自動車(23%)、サービス(8%)、電子機器(6%)だった。

中国における2023年の利益見通しは、前年から「5%超の増加」としたのは、回答企業の32%にとどまった。一方で、「5%超の減少」としたのは、2022年8~9月実施の類似の調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと比較すると10ポイント増の32%となった。また、今後2年間の中国への投資の見通しについては、前年から「増加する」としたのは54.9%で、前年比4.2ポイント増となった。ただ、同回答が70%以上だった2020年、2021年と比較すると、いまだに投資には消極的な姿勢が続いていることがわかる。なお、「減少する」(17.7%)または「投資をしない」(20.5%)と回答した企業に、その理由を聞いたところ(3つまで回答可)、「市場拡大への期待の薄さ」(57.8%)、「地政学的緊張の高まり」(42.2%)、「中国の自国産業保護的な経済政策」(28.4%)と続いた。

現在の地政学的緊張の高まりを踏まえて、ドイツの本社では中国戦略をどのように適応させているかという質問では(複数回答可)、現地化の強化または多様化の促進という2つの方向性で各社が対応していることが明らかになった。現地化に関しては、「ビジネス機能(R&Dなど)の現地化の加速」(27.4%)、「中国でのビジネスの強化/投資の増加」(19.8%)、「サプライチェーンの現地化」(18.1%)と続いた。一方、多様化に関しては、「中国国外のサプライチェーンの多様化」(20.5%)、「中国でのビジネス拡大/投資の保留」(18.8%)、「投資先(中国以外)の多様化」(18.4%)と続いた。

なお、サプライチェーンの多様化という点では、新規調達先としてアジア太平洋地域が有力な候補の1つとなっている。ドイツ商工会議所(DIHK)が2022年12月に発表したアンケート調査結果によると、新規調達先を探す国・地域についての質問(複数回答可)では、在中国ドイツ企業の回答は、中国とした割合は51%なのに対し、アジア大洋州とした割合は61%に上った(2023年1月11日記事参照)。

(宮林和夢)

(ドイツ、中国)

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