BRICS外相会議、ケープタウンで開催

(南アフリカ共和国、ブラジル、ロシア、インド、中国)

ヨハネスブルク発

2023年06月15日

南アフリカ共和国のケープタウンで6月1日から2日にかけて、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アの新興5カ国(BRICS)が外相会議を開催した。本会合は、2023年8月に開催予定のBRICS首脳会議に向けた関係強化を目的に開催され、世界経済の動向や課題について意見交換が行われた。

会議1日目、BRICS外相は、政治・安全保障、経済・金融、文化・人的な協力関係を3本柱とし、連携強化を確認した。BRICS外相による共同声明は、次のとおり多岐にわたる分野に関し言及した。

  • 国連主要機関や国連保障理事会の改革
  • G20の重要性や議長国としての役割の再認識(注1)
  • WTOの改革と紛争解決制度の機能回復
  • BRICS加盟国にとっての通商における自国通貨使用の重要性
  • 安定したエネルギー安全保障のためのバリューチェーン強化
  • シリアのアラブ連盟への復帰
  • スーダン軍事衝突の即時停止

ロシアとウクライナの問題に関しては、対話と外交を通じた解決を目指すことに留意するとし、黒海穀物イニシアチブ(注2)の覚書を効果的に実施することを求めた。また、国連憲章の原則と相容れない経済制裁など一方的な強制措置の執行は開発途上国の経済に悪影響を及ぼすと懸念を表明した。

会議2日目には、BRICS加盟に関心を示す新興国十数カ国を招いたBRICSフレンズ外相会合が開催され、加盟国の拡大について協議が行われた。イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、キューバ、コンゴ民主共和国(DRC)、コモロ、ガボン、カザフスタンが現地へ代表団を派遣し、エジプト、アルゼンチン、バングラデシュ、ギニアビサウ共和国、インドネシアがオンラインで参加した。中国、ロシアの両国は、BRICSの影響力を高めるため、加盟国拡大に積極的とされる。2022年6月にはイランやアルゼンチンが加盟申請を行った(2022年7月4日記事参照)。

なお、2023年8月22日から24日にかけてヨハネスブルグで開催されるBRICS首脳会議においては、ロシアのプーチン大統領の対面での参加、さらには参加した場合に南ア政府が国際刑事裁判所(ICC)に引き渡すかどうかが注目されている(ロイター6月1日)。

(注1)2023年インド、2024年ブラジル、2025年南アがG20の議長国を務める予定。

(注2)食料価格の安定のため、2022年7月にウクライナ、ロシア、トルコの3カ国が署名した、黒海経由でのウクライナからの穀物輸出再開に関する合意文書(2022年7月26日記事参照)。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国、ブラジル、ロシア、インド、中国)

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