中国初の海上CO2回収・貯留プロジェクトが稼働

(中国)

広州発

2023年06月09日

中国海洋石油集団(以下、中国海油)は6月2日、中国初の100万トン級の海上二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)実証プロジェクトが、正式に稼働したと発表した。同社の発表によると、同プロジェクトは深セン市から西南に約200キロ離れたところにある「恩平15-1」油田で実施される。同プロジェクトの稼働によって、年間当たり30万トンのCO2を貯留でき、累計150万トン以上のCO2削減に貢献できるという。同プロジェクトの実施は、中国が海上CO2の回収・貯留・監視のための採掘技術・設備体系を基本的に形成し、中国の海上CO2貯留技術の空白を埋めたことを意味しており、中国のカーボンピークアウト・カーボンニュートラルとの目標達成に対して重要な意義を持つとした。

同プロジェクトでは、「恩平15-1」油田の開発に伴い発生したCO2を回収・分離し、気液混合の超臨界状態まで加圧し、海底下800メートルの地層に圧入して貯留する。中国海油の2022年12月8日付の発表によると、「恩平15-1」は、アジア最大の海上石油生産プラットフォームであり、高さは約160メートルで総重量が約3万トン以上と、従来のプラットフォームの2倍の規模となる。

「新華財経」の2023年6月1日付の報道によると、「恩平15-1」のCO2圧入井の建設投資は2億5,700万元(約51億円、1元=約20円)で、維持費用は年間約250万元、1トンのCO2を貯留するには500~1,000元となり、CO2を圧入するための井戸(圧入井)の建設・稼働・メンテナンスのコストが高い。他方で、中国のCO2排出権取引の相場について、6月7日時点の平均価格は1トン当たり58.5元で(「上海証券報」6月7日)、前述のCCSのコストの方が数倍も高く、売却益を得るのはまだ難しいようだ。

(汪涵芷)

(中国)

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