三安光電とSTマイクロエレクトロニクス、重慶にSiC工場設立で合意

(中国、スイス)

広州発

2023年06月14日

中国福建省アモイ市に本社を置く半導体企業の三安光電と、スイスの半導体大手STマイクロエレクトロニクス(ST)は6月7日、重慶市でシリコンカーバイド(SiC)半導体(注)の量産に向けた合弁工場「暫定名:三安意法半導体(重慶)」を設立することで合意したと発表した。同時に、三安光電は同合弁工場の生産ニーズを満たすため、同市で8インチSiC基板の製造工場を新設することも併せて発表した。

合弁工場は、三安光電の完全子会社の湖南三安が51%、STが49%を出資、合計32億ドルを投資する。2025年第4四半期(10~12月)に生産を開始し、2028年のフル稼働を目標としている。合弁工場はSTのSiC製造技術を活用し、フル稼働した場合に1週間当たり1万枚の8インチSiCウエハーを生産する。また、三安光電が独資で重慶市内に新設する予定の8インチSiC基板の製造工場(独資基板工場)には約70億元(約1,365億円、1元=約19.5円)を投資する計画で、合弁工場と長期供給契約を締結する。

三安光電の林科闖総経理は「合弁工場は、その優位性を十分に発揮し、生産能力の拡大と、SiC半導体市場への広域的な応用推進、新エネルギー自動車の発展を後押しするものだ」と述べた。

STのジーン・マーク・チェリー社長兼最高経営責任者(CEO)は「中国の自動車と工業分野の電化が急速に進んでいる。中国の重要なパートナーと共同で専門的なウエハー工場を設立することは、中国の顧客ニーズを満たす最も効率的な方法」との見方を示すとともに、「新設予定の独資基板工場と合弁工場(前工程工場)、広東省深セン市にあるSTの後工程工場を組み合わせることで、SiCバリューチェーンを完備できるようになる。これは、イタリアとシンガポールでの大規模な投資に続き、世界的なSiC製造を拡大する重要な一歩だ」と述べた。

(注)シリコン(Si)と炭素(C)で構成される化合物半導体。従来のシリコン半導体よりも高いエネルギー効率で、小型化、軽量化、コストダウンを可能にする。

(梁梓園)

(中国、スイス)

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