李強首相、ドイツと政府間協議を実施、ショルツ首相とも会談

(中国、ドイツ)

北京発

2023年06月27日

中国の李強首相はドイツを訪問し、現地時間6月20日に第7回中国・ドイツ政府間協議を開催するとともに、オラフ・ショルツ首相と会談した(注)。

政府間協議で李首相は、中国とドイツはさらに緊密に協力し、世界情勢の変化の中で「スタビライザー」としての役割を発揮し、「人類運命共同体」の構築を加速すべきであるとした。その上で、中国はグリーン分野でのパートナーとして、グリーンエネルギーに関する研究開発・産業技術のレベルアップの推進や、新エネルギー車、グリーンファイナンス、第三国市場などでの協力を提唱した。

中国側の発表によれば双方は、共同でグローバルサプライチェーンの安定を維持することは両国の利益となり、世界的にも重要な意義を持つとの認識を共有した。また、気候変動・グリーントランスフォーメーション対話協力メカニズムの立ち上げ、ハイレベル財政・金融対話、中国・ドイツ環境フォーラム、保健ダイアローグの実施、経済・貿易、投資、自動車製造、ハイテク、新エネルギー、デジタルエコノミー、文化などでの協力を引き続き深めることにも合意した。

政府間協議開催後にはショルツ首相との会談が行われた。李首相は、ドイツが引き続き開放的な心で独立自主を堅持し、国際ルールに基づき契約精神を原則として問題に対処することを望むとした。また、中国は気候変動対応を今後の中国・ドイツの協力の指針となる理念の1つとして、科学技術、産業協力を推進し、グリーンエネルギー産業チェーンの合理的で秩序ある分業体制の構築を提案するとした。

中国側発表によればショルツ首相は、いかなる形式によるデカップリングにも反対するとし、デリスキング(脱リスク)は「脱中国」ではないとした。その上で、ドイツは双方向の投資を支援し、中国企業のドイツへの投資に対し優れたビジネス環境を提供するとした。

李首相は19日にはシーメンス、フォルクスワーゲン、メルセデスベンツ、BMW、シェフラー、バスフ、コベストロ、ワッカー・ケミー、メルク、SAP、アリアンツとの座談会を行った。李首相はリスク防止と協力は対立するものではなく、協力しないことが最大のリスク、発展しないことが最大の危険であるとした。

中国内の報道では、中国・ドイツの政府間協議の再開は中国・欧州関係において強い象徴的意味と模範となる効果を持っているとの評価が見られた(「環球時報」6月22日)。

(注)李首相は現地時間6月18~21日にドイツを訪問した。首相として初めての外国訪問となった。また、2021年に開催された第6回政府間協議は新型コロナウイルス感染拡大の影響からオンラインで実施されており、今回は第5回以来の対面開催だった。李首相は19日にフランク=バルター・シュタインマイヤー大統領とも会談を行っている。

(河野円洋)

(中国、ドイツ)

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