米主要港、4月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比9.6%増、2023年上半期は前年同期比22.3%減の見通し

(米国)

ニューヨーク発

2023年06月09日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(6月7日)によると、2023年4月の米国小売業者向けの主要輸入港(注)の輸入コンテナ量は前月比9.6%増の178万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった。NRFによると、国内の主要港の輸入コンテナ量は今夏にかけて徐々に増加するものの、2023年上半期は、新型コロナ禍前の2019年の水準になると見込まれでいる。

グローバル・ポート・トラッカーの見通しでは、2023年5月の輸入コンテナ量は前年同月比23.0%減の184万TEU、6月は15.3%減の191万TEUと、前年比で大幅な減少傾向が続く一方、8月には10.5%減の200万TEUまで回復すると推定されている。

なお、NRFによると、2023年上半期の輸入コンテナ量は、前年同期比22.3%減の1,050万TEUになる見込み。2023年通年の見通しはまだ発表されていないが、同年第3四半期は前年同期比7.9%減の597万TEUとなり、年初から9カ月間でみると前年同期比17.6%減の1,648万TEUになる見込みだ。

米国西海岸の港湾では、現在も労働協約が締結されない状況が1年近く続いており、2015年以来最も長い労働関連の混乱に耐えている。直近6月上旬には、賃金を巡る交渉が合意に至らず、西海岸の一部港湾でターミナルの操業が停止する事態に陥るなど、深刻な影響を及ぼしている(2023年6月5日記事参照)。

こうした状況を受け、NRFは6月5日、年末の繁忙期シーズンに輸送が混乱することへの懸念を理由に、バイデン政権に介入を要請した。同日の発表で、NRFの政府渉外担当シニアバイスプレジデントのデービッド・フレンチ氏は、「ホリデーシーズンに向けた輸送のピークシーズンを迎えるにあたり、これらのさらなる混乱により、小売業者やそのほか重要な輸送パートナーは、新たな労働契約が確立されるまで西海岸の港湾から貨物を(違うところに)移動させる必要がある」「われわれは政権に対して、当事者が新たな契約を迅速に締結できるよう、仲介することを求める」と表明した。

カリーン・ジャンピエール大統領報道官によると、ジョー・バイデン大統領は西海岸港湾の労働争議で双方に団体交渉の継続を促しており、ジュリー・スー労働長官代理も積極的に関与しているという(ロイター6月7日)。

(注)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。

(樫葉さくら)

(米国)

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