3月のGDP成長率、前年同月比マイナス1.1%

(ロシア)

欧州課

2023年05月18日

ロシア経済発展省の発表(5月3日)によると、2023年3月の実質GDP成長率(推計値)は前年同月比マイナス1.1%(前月伸び率より1.8ポイント増)となった。第1四半期(1~3月)の推計値は前年同期比マイナス2.2%だった(添付資料表参照)。3月は製造業の回復により鉱工業生産がプラスに転じた一方、小売業と貨物輸送は引き続きマイナス成長だった(2023年4月11日記事参照)。

3月の鉱工業生産は前年同月比1.2%増だった。製造業の伸び率は前月から7.5ポイント改善し、6.3%増だった。冶金(やきん)・金属加工業が13.5%増(前月より3.2ポイント増)と好調だったことが製造業の伸びに寄与した。機械製造業は1月、2月ともに2.6%減だったが、3月は10.0%増と改善した。マクシム・レシェトニコフ経済発展相は、プラスになった3月の鉱工業生産のうち、輸入代替が進む機械製造、金属加工、食品産業で成長がみられると指摘した(「フィンマーケット」5月4日)。

3月の自動車生産は前年同月比6.8%減、伸び率は前月から43ポイント増と大幅に改善した。自動車調査会社アフトスタト(4月5日)によると、3月の乗用車新車販売台数は前年同月比11.4%減(前月より38.4ポイント増)の6万9,913台だった。ブランド別で最も販売シェアが大きかったのは、地場乗用車最大手アフトワズの「ラーダ」(34.7%)、次いで中国自動車メーカー大手の奇瑞汽車の「チェリー」(11.5%)や長城汽車の「ハバル」(9.8%)が続く。

建設業は前年同月比6.0%増(前月より5.9ポイント減)とプラスで推移している。農業は3.3%増(0.7ポイント増)だった。貨物輸送は前年同月比3.6%減(前月より3.2ポイント減)と前月より落ち込んだ。

労働市場は安定しており、3月の失業率は3.5%だった。実質賃金は2月が前年同月比2.0%増だった。

マイナス成長が続く小売商品売上高について、経済発展省は2023年に5.3%とプラス成長になると予測している(2023年4月26日記事参照)。レシェトニコフ経済発展相は、貯蓄と消費のバランスの正常化や、消費者向けローンの拡大によって、消費が回復するとみている(インターファクス通信4月14日)。他方で、インターファクス通信が取りまとめたコンセンサス予測によると、2023年の小売商品売上高は0.2%減とされている(同通信5月3日)。

ロシアの公式GDP統計は、四半期別と年別について連邦国家統計局が、推計値として月次の成長率は経済発展省がそれぞれ発表している。

(小野塚信)

(ロシア)

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