1~3月の海港貨物取扱量、前年同期比10%増、北極海航路開発を進める方針堅持

(ロシア)

欧州課

2023年04月19日

ロシア商業海港協会の発表(4月12日)によると、2023年1~3月のロシア海港での貨物取扱量は前年同期比10.0%増の2億2,020万トンだった(添付資料表参照)。ロシア政府は北極海航路の整備を「ロシア経済における重要戦略」として注力していく方針を堅持している。

品目別でみると、石炭(18.3%増)、穀物(2.1倍)、鉱物質肥料(1.6倍)、原油(9.2%増)が大きく伸びた。ブルームバーグ(3月3日)は、2022年にロシアで小麦が豊作だったことからロシア産小麦が世界的に安価になり、出荷が増えていると報じた。一方で、コンテナ貨物(15.8%減)、鉄鋼(25.5%減)、鉱石(21.6%減)、石油製品(3.3%減)、液化ガス(9.0%減)が減少した。

海港所在海域別では、アゾフ・黒海域が18.6%増、カスピ海域が28.5%増だった。「インフラ・ニュース」(4月12日)によると、両海域では特にコンテナ取扱量が増加した。アゾフ・黒海域で前年同期比11.3%増、カスピ海域では4.6倍だった。

北極海域は2.8%増と微増だったが、政府は北極海を通じた物流網はロシア経済にとって戦略的に重要として、整備を進める方針を崩していない。ユーリー・トルトネフ副首相兼極東連邦管区全権代表は4月14日、アルハンゲリスクで北極圏開発に関する国家委員会幹部会を開催。トルトネフ副首相は、運輸省にアルハンゲリスクの輸送ハブ開発についての報告書を2週間以内に政府に提出するよう指示したほか、北極海航路における2023年の貨物輸送量目標の達成に向けた追加措置について議論した。ロシア政府は北極海航路の貨物輸送量を2024年までに8,000万トンに引き上げる目標を掲げている。

3月単月のロシア海港の貨物取扱量は前年同月比25.9%増の7,986万トンだった。前年同月の取扱量が少なかったことの反動増が増加の要因の1つ。2023年1月、2月と比較して、3月の取扱量はそれぞれ7%、22%上回った(「インフラ・ニュース」4月12日)。

(後藤大輝)

(ロシア)

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