ラニーニャ現象による干ばつで2022/2023年度の穀物生産見通しに暗雲

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス

2023年02月02日

アルゼンチンでは、ラニーニャ現象による降雨量不足の影響により、3年連続で全国的な水不足に見舞われている。ロサリオ穀物取引所(BCR)が1月11日に発表した農作物生産見通しに関する月次報告書によると、2022/2023年度(注1)は過去60年間で最も乾燥した年度になるという。国立気象局(SMN)のデータを基に、2023年2~3月の降雨量について、やや少ないまたは平年並みまで改善する確率が上がったと予測するものの、一部農作物の収穫量に関しては既に回復が見込めないとしている。

BCRによると、小麦の生産量は2021/2022年度に2,300万トンと過去最高を記録したが、2022/2023年度は1,150万トンと、前年度比50%の大幅減となった。大豆とトウモロコシの2022/2023年度の生産量見通しは、それぞれ3,700万トン(前年度比12.3%減)と4,500万トン(同11.8%減)と、干害の影響は大きい(添付資料図参照)。ヒマワリは、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて、ひまわり油の国際価格が高騰したため、国内栽培が増加している。2022/2023年度のヒマワリの作付面積は前年度比約14%拡大する見通しだが、干ばつの影響もあり、生産量は350万~405万トンと前年度とほぼ同水準とされる。

2023年の穀物輸出額も減少を予想

BCRは1月24日、主要農産物(一次産品と加工品も含む)の輸出見通し(注2)も発表した。大豆、トウモロコシ、小麦、ヒマワリ、大麦、麦芽などの関連品目の2023年の輸出額(FOB)は363億8,600万ドルで、前年の416億5,200万ドルから12.6%減少するとしている。このため、52億6,700万ドルの外貨収入が失われると警鐘を鳴らす。品目別にみると、大豆関連品の輸出は221億1,800万ドル(前年比22億8,400万ドル減)、トウモロコシ関連品は87億8,700万ドル(同5億ドル減)、小麦関連品は21億5,600万ドル (同23億5,800万ドル減)、ヒマワリ関連品は17億5,600万ドル(同1億2,200万ドル減)となっている。

暗い見通しだが、1月21日以降、アルゼンチン北部と中央部の各地で大雨が確認されており、アルゼンチン農業庁は、国立農牧技術院(INTA)が行った気象データの分析に基づき、「ラニーニャ現象は2月あたりから収束に向かう」と期待を寄せる(1月18日付国営テラム通信)。

(注1)年度は農作物ごとに期間が異なる。作物収穫開始から12カ月間を指す。例えば、小麦は9月~翌年8月、トウモロコシは3月~翌年2月となっている。

(注2)2023年の輸出額見通しには、一部作物は2022/2023年度と2023/2024年度のもの、その他作物は2021/2022年度と2022/2023年度のものを含む。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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