2022年のドイツの就業者数は1990年の再統一以降で最多、失業率は低下

(ドイツ)

ミュンヘン発

2023年01月12日

ドイツ連邦統計局は1月2日、2022年のドイツの年間平均就業者数(速報値)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。年間平均就業者数は前年比1.3%増の4,556万9,000人で、1990年のドイツ再統一以来最多となった。これまでの最大値は2019年の4,527万7,000人だった。連邦統計局は就業者数増加の主因を、移民による外国人労働力の増加とした。これに国内の労働参加率の上昇が加わり、少子高齢化による就業者数の減少を上回ったとしている。

産業別では、サービス業が就業者数全体の75.2%(3,426万5,000人)を占め、鉱工業(建設を除く)が17.8%(811万2,000人)、建設業が5.8%(263万4,000人)、農林水産業が1.2%(55万8,000人)だった。2022年の前年比増加人数(58万9,000人)のうち、サービス業における増加が54万8,000人増と93%を占めた。他方、鉱工業(建設を除く)は3万1,000人増、建設業は1万3,000人増などにとどまった。

中・長期的にみると、労働力人口(20~66歳)は今後、減少する見込みだ。連邦統計局が2022年12月に発表した推計値外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、現在5,140万人の労働力人口は、移民が今後増えても、2030年代半ばまでに約160万人減少、移民が少ない場合は480万人減少することもあり得るとしている。

失業率も0.4ポイント低下

連邦雇用庁は2023年1月3日、2022年のドイツの失業率を5.3%と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2021年(5.7%)から0.4ポイント低下した。2022年の失業者数は241万8,000人で、前年比で19万5,000人減少した。2022年下期に、ウクライナからの避難民が統計上で捕捉されたため失業者数が増加したものの、通年では、新型コロナウイルス関連規制の緩和などによる経済回復が失業率低下に寄与した。また失業率は、旧西ドイツ地域では5.0%、旧東ドイツ地域では6.7%となった。州別では、失業率がもっとも低かったのは南部バイエルン州の3.1%、最も高かったのは北部ブレーメン市(州に相当)の10.2%だった。

操業時間の短縮による給与減少分の一部を政府が補填(ほてん)する、短時間労働給付の雇用主による申請人数については、連邦雇用庁は2022年平均を約43万人と推計した。これは、2020年の293万9,000人、2021年の185万2,000人と比べて大幅に少ない(2020年5月7日記事参照)。連邦雇用庁はこの理由として、2022年9月からエネルギー価格高騰などで申請が増えたものの、通年では、新型コロナウイルス関連の規制緩和などを受けて申請数が減ったためとしている。

(高塚一)

(ドイツ)

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