中国でのRCEP協定の原産地証明申請手続きについて、弁護士に聞く

(中国)

中国北アジア課

2023年01月12日

中国税関総署は「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」(以下、RCEP協定)の発効に先立ち、同協定の原産地規則に係る中国国内の法令整備などを目的とした「中華人民共和国税関『地域的な包括的経済連携協定』輸出入貨物原産地管理弁法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、弁法)を2021年11月23日に公布した。2022年1月1日にRCEP協定が発効して以降は、対中貿易を中心に日系企業によるRCEP協定の活用が進んでいる。

ジェトロは2023年1月10日、弁法で示された中国でのRCEP協定に係る原産地証明の申請手続きなどについて、金誠同達法律事務所の張国棟弁護士に聞いた。主な内容は以下のとおり。

(問)中国における原産地証明の発給機関は。

(答)原産地証書は各RCEP協定締約国の証明機関が発給することとなっており、定まった様式が設けられている。弁法の第6章第42条では、「中国における証明機関は直属の税関や隷属する税関、ならびに中国国際貿易促進委員会(CCPIT)およびその地方支部」と明記している。弁法の第3章第18条では「原産地証明は書面の形式を採用し、英文をもって記入および作成しなければならず、具体的な様式については税関総署が別途これを公告する」としている(中国税関総署公告2021年第106号参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(問)中国におけるRCEP協定の原産地証書申請の実務的な手続きの流れは。

(答)「中国国際貿易単一窓口外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」というサイト上で電子版の原産地証書を申請・取得することができる(2023年1月6日付調査レポートPDFファイル(750KB)、p7~12を参照)。本サイトにログイン後、サイト上で基本情報、発票情報、貨物情報の入力を進め、申請を行う。入力したデータがルールに適合するかをシステムが自動的に検証し(システムの検証で不適合となるデータが発見された場合は再修正を要求される)、すべて適合(合格)した後に、原産地証明書データを税関に申請することができ、その後、審査が行われる。主管税関が受理した後、一般的には1営業日から3営業日ほどの期間内にオンラインで認可される。審査を通過した場合には、「証書の照会」の画面において電子版の原産地証書を照会することができる。

(問)弁法のほかに、中国政府はRCEP協定に関連してどのような情報を公表しているか。

(答)弁法を補足説明する目的で、中国税関総署は政策解説を発表している。同解説では、RCEP協定に係る貨物の原産地資格や原産国(地域)の決定方法、また原産地証書の発行手続きなどが示されている。具体的には以下のとおり。

また、中国商務部はRCEP協定に係るテーマ別の研修教材を発表している。

なお、ジェトロは2023年1月6日に、RCEP協定に関して「原産地証明の原産判定・証明書発行の流れ・手続きと留意点PDFファイル(750KB)」と題した解説記事を金誠同達法律事務所の協力を得て掲載している。

(片小田廣大)

(中国)

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