米主要港、11月の輸入コンテナ量は2021年2月以来の低水準、全米小売業協会

(米国)

ニューヨーク発

2023年01月11日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(1月9日)によると、2022年11月の米国小売業者向けの主要輸入港(注)の輸入コンテナ量は前月比11.3%減の178万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)となり、2021年2月(187万TEU)以来の低水準に落ち込んだ。NRFによると、新型コロナウイルスの流行に伴う物流の混乱によって急増していた主要コンテナ港の滞留は収束し、国内主要コンテナ港の月間輸入貨物量は200万TEUを下回り、2023年春までほぼ同水準で推移するとみられる。

NRFのサプライチェーン・税関担当バイスプレジデントのジョナサン・ゴールド氏は、発表の中で「消費者の購買意欲は依然として旺盛で、取扱量も高水準のままだが、1年前のこの時期に広がっていた埠頭(ふとう)の混雑や荷揚げ待ちの船は見当たらない」と述べた。一方で、「西海岸の港湾における労働協約の締結など、まだ解決しなければならないサプライチェーンの課題に取り組むため、この時期を利用することが重要だ」と指摘した。

また、ハケット・アソシエイツの創設者ベン・ハケット氏は「新型コロナウイルスが世界の貿易と消費需要に与えた影響が3年近く続いたが、輸入のパターンは2020年以前の正常な状態に戻りつつある」と指摘した上で、「インフレが緩やかになり、個人消費が戻るにつれ、2023年後半に入り成長が徐々に戻るだろう」との予測を述べた。

グローバル・ポート・トラッカーによると、2022年12月のコンテナ取扱量は前年比10.1%減の188万TEUになると見込まれている。この見込みに基づけば、2022年全体のコンテナ貨物取扱量は2,570万TEUに達し、2021年に記録した2,580万TEUの年間記録から0.7%減となる。また、2023年2月は中国の春節(旧正月)に合わせて輸送されたコンテナが帰り荷を積んで戻ってくることで、貨物量が多くなることが予想されるが、同月の輸入コンテナ量は前年同月比23%減の163万TEUまで落ち込むと予測されている。NRFが12月時点で発表した見通しからさらに減少し、輸入量が200万TEUまで回復するのは2023年5月になると推測されている。

(注)主要輸入港には、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港が含まれている。

(樫葉さくら)

(米国)

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