地域暖房用原子炉など5分野への新たな研究投資を発表
(フィンランド)
ロンドン発
2023年01月26日
フィンランド国立技術研究センター(VTT)は1月17日、今後3年間で5つの新たな研究投資を開始することを発表した。企業を再生し、競争力を加速させながら、グリーン移行とエネルギー安全保障の確保を促進する。
投資対象となる5つの分野と金額は以下のとおり。
- 2030年までに地域暖房用原子炉を稼働(500万ユーロ)
- プラスチックや混紡繊維のリサイクルのための試験プラットフォーム運用(550万ユーロ)
- 林業におけるエネルギーおよび水消費量の大幅削減とイノベーション(400万ユーロ)
- 生合成原料のデジタル開発プラットフォーム(250万ユーロ)
- 医療機器の開発を加速するパイロット環境(340万ユーロ)
このうち、地域暖房用原子炉については、2022年に南部ラッペーンランタ市と11のエネルギー会社が、VTTとラッペーンランタ大学に実現可能性に関する調査を委託している。調査では、経験不足と将来の規制の不確実性、および適用される技術の成熟度の低さが指摘されたものの、原子炉による国内での熱供給は早ければ2030年代に開始される可能性があるとしていた。
さらにVTTは、マイクロエレクトロニクスおよび量子技術のパイロット環境を構築するための国際イニシアチブ創設も発表。エスポー市、アールト大学およびフィンランドの半導体産業企業メンバーと連携し、現在、オタニエミにある世界クラスの研究インフラを拡張することで、EUにおける両技術の重要拠点の1つとして、フィンランドの地位が向上するとしている。
(菅野真、半井麻美)
(フィンランド)
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