ロシア撤退のノキアンタイヤのルーマニア工場新設に臨時補助金

(ルーマニア、ロシア)

ブカレスト発

2023年01月26日

自動車用・産業機械用タイヤメーカーのノキアンタイヤ(フィンランド)が、ルーマニア・オラデアの工場新設(2022年11月10日記事参照)にあたり、ルーマニア政府と9,955万ユーロの臨時補助金交付の覚書を締結した(1月18日のルーマニア政府会議承認事項に関するプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、IVの2参照)。投資総額は6億4,240万ユーロで、補助金は2023年から2028年までの5年間に9,955万ユーロ交付される予定。

ジェトロが1月23日、ルーマニアのコンサルティング会社のワイズファイナンスソリューションズ(WFS)グループ代表のボグダン・ホッス(Bogdan Hossu)氏に本件について照会したところ、次のとおり。企業がルーマニア政府に1億ユーロ以上の国の補助金を求める場合は通常、「経済に大きな影響を与える投資を促すための国家補助金(政令2014年807号)」や製造業向け補助金(政令2022年959号)(2022年10月17日記事参照)など既存の枠組みを利用せず、案件ごと個別に、経済省・財務省・首相府が共同で所管している臨時補助金を申請する必要がある。申請書類は地方政府の競争評議会(Consiliul Concurentei外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、日本の公正取引委員会に相当)、国の競争評議会、欧州委員会でそれぞれ審議を経て承認された後、補助金が交付される。同補助金をノキアンタイヤが獲得すれば、2008年に開業したフォードのクラヨバ工場以来になるという。

ノキアンタイヤは高価格帯の冬用タイヤブランド「ハッカペリッタ(Hakkapeliitta)」で知られる。同社は、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて2022年6月28日、ロシアからの撤退決定を発表し、10月28日に企業価値をベースにした売却価格を4億ユーロと見込むロシア事業の譲渡契約締結を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。11月1日には、供給確保のための欧州での新たな生産拠点として、ルーマニアでの工場新設を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。

(西澤成世)

(ルーマニア、ロシア)

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